導入事例

物流倉庫の業務を大幅に効率化! スマホのカメラで商品を瞬時に識別するNTCの「AI画像判別サービス」とは?

AI Start Lab 編集部 2021.8.24
株式会社NTCは、物流倉庫向けに、スマートフォンやタブレットのカメラで撮影するだけで商品を判別できる「AI画像認識サービス」の提供を開始した。

このサービスを導入することで、商品に管理用コードをつけることなく、これまで検品担当者が目で行っていたパッケージやラベルの確認、確認結果の入力といった作業を瞬時に完了させることができるようになる。作業時間を大幅に短縮できるとともに、作業担当者が変わることで生じる質のばらつきをなくすことも可能だという。

今回、このサービスを立ち上げた株式会社NTCの江尻卓弥さんに、どんなサービスなのか、どのように開発されたのかなど詳しく話を聞いた。

業務効率化は物流倉庫業界の喫緊の課題


物流倉庫では、商品の管理方法として、バーコードなどによるコード管理が一般に普及している。商品に付与したコードをハンディターミナルなどの機器で読み取り、商品の入出荷や棚卸などの作業を行う方法で、商品にコードを付与できる場合は、非常に効率的に商品を管理することができる。

しかし、現状ではすべての商品がこの方法で管理されているわけではない。機械部品や海外からの輸入品、生鮮食品など、倉庫への入荷時にコード類が付与されていない商品も数多く存在するためだ。


「実際、現在も約8割の企業が、コード類のついている商品とついていない商品の両方を取り扱っています。もちろん、企業から商品を預かる物流倉庫も、その両方を取り扱うことになります」


「NTCが実施した調査によると、年商100億円以下の物流倉庫の約7割が、コード類が付与されている商品とされていない商品が混在した状態で業務を行っています。コード類が付与されていない商品を扱う際には、物流倉庫側でコードを付与したり、データを手入力したり、出荷時の誤配防止にパッケージやラベルを目視で確認したりといった、人手による作業が発生しているのです」

近年では、ネット通販の普及により、宅配便の取り扱いが増加傾向にあるとともに、作業員の確保も年々難しくなり、人手による作業の効率化は極めて重要な課題となっている。

また、商品の出荷時に行われる目視検品では、スタッフの熟練度の差などから作業時間や作業の正確性にばらつきが出るという問題も生じている。「AI画像判別サービス」は、こうした現場からの声に応えるべく開発されたという。

商品に手を加えることなく、確認作業を省力化


「『AI画像判別サービス』は、あらかじめスマートフォンやタブレットで撮影した商品画像をAIに学習させ、商品のマスターデータと対応させておくことで、作業時に商品を判別させることができます。」


「このサービスを導入することによって、バーコードなどが付与されていない、付与できない商品についても、これまで目視で行っていた入出荷や棚卸時の確認作業を、商品に変更を加えることなくシステム化することが可能となります」


人手による作業の軽減による業務効率化や人的ミスの削減が期待されるほか、写真を撮影するだけで済み、初心者でも容易に操作できるため、教育コストの削減も図ることができるという。データはクラウドに保存され、情報の共有もスムーズに行える。

現場の声に応えるサービスを!


同社がAIによる画像認識サービスを開発するのは、今回が初めてではない。

「洋服の画像からAIで自動採寸するサービス『mysizeis.clothes』の提供を2019年から開始しました。mysizeis.clothesを使えば、採寸台などに置かれた洋服をカメラで撮影するだけで採寸でき、手作業では33秒かかる作業が、わずか11秒で完了します」

「入力作業も必要なく、採寸にかかる作業時間が3分の1に減るため、1日1,000着を採寸する場合、1年あたり1,320時間の削減に。実は、すでに実績のあったこのmysizeis.clothesをほかの商品にも応用できないか、という現場からの要望を受けて誕生したのが『AI画像判別サービス』なんです」

mysizeis.clothesで培ったAIシステム開発・導入のノウハウをより多くの現場で活用してもらうため、さまざまなユーザーとのPoC(概念実証)を行う中で、物流倉庫業に「AI画像判別システム」を適用する際の課題が見えてきたという。


「物流倉庫業は、取り扱う商品数がとくに多く、新商品が発売されるサイクルも早いため、AIに多量の商品を頻繁に学習させる必要があります」

とはいえ、新たに商品が加わるたび、200枚、300枚の画像を撮影していたのでは、効率化を達成したとはいえない。


「そのため、いかに少ない撮影枚数で判別可能にさせられるか、という点に注力して、学習方法の変更や画像認識技術と組み合わせなどの検証を続けました。その結果、十分に運用可能なAIの学習負担と判別精度を実現できました。PoCを実施したあるユーザーの例では、AIに学習させる商品画像が3~10枚程度でも100%に近い精度で商品の判別が可能となっています」

より使いやすいサービスを目指して


同社は、サービスの提供を開始したのちも、顧客とのやり取りを通じて、より使いやすい形を実現するべく、精度の向上を図り続けていくという。今後の展開として、バーコード読み取りなどの機能と組み合わせることで、ハンディターミナルとして運用する方法も検討されている。

今回のAIによるサービスを構築するにあたっては、マシンラーニング(機械学習)の手法だけにこだわらずに開発した点が、高い精度を出すことが可能になった理由だという。ただ、AIの特性としてもちろん常に100%の精度が出るわけではない。ここで重要になってくるのが、現場との連携だという。


100%の精度が出ないことを前提として、現場での運用方法をともに構築していくことが必要となる。そのため、「現場で信頼してもらうことが大切」と話す。

「作業時間の短縮という効果はもちろんありますが、お客様の課題に合わせて遠隔での作業への活用などのメリットも提案させていただいています」。

現場の課題と運用にしっかり向き合ったAIサービスとなっているところが、この「AI画像判別サービス」の強みとなっている。また、AIサービスの導入という点でも、現場によりそった提案があるという点が重要となるということになるだろう。



株式会社NTC
https://www.ntc.co.jp/
スマホのカメラ撮影で商品を瞬時に判別するAI画像判別サービスを提供開始
https://www.ntc.co.jp/news/news-service/majaringai-ht-pressrelease
「AI 画像識別ソリューション」を提供開始!
https://www.ntc.co.jp/news/news-service/majaringai-ht-pressrelease

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AI Start Lab 編集部

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