
社会が大きく変化する中、小売業は大きな岐路に立っている。特に店舗ビジネスを展開している企業は、今後ビジネスをどう成長させるか大きな課題となっているだろう。
今回は、そのきっかけとなりうるソリューションとして「AIカメラ」を取り上げたい。なぜAIカメラが店舗ビジネスの成長に必要となりうるのか、小売業を取り巻く環境などを踏まえて考えてみる。
まず、店舗ビジネスを展開する小売業が置かれている現状を見ていこう。
スーパーやドラッグストア、コンビニや百貨店など、店舗を展開している小売業にもさまざまな形態があるが、全般的に伸び悩んでいる感は否めない。業界全体の売り上げが伸びているドラッグストアですら、2020年はコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて訪日外国人客が減少し、成長が鈍化している。
ここ数年で伸び悩みが顕著なのが、私たちにとって馴染みがあるコンビニエンスストアだ。2000年代に入ってからも、出店は伸び続けていたものの、2017年に出店純増数が1000店を割り込み、2019年には出店数の純減に直面した。市場全体の伸びが止まりつつ影響もあるのか、コンビニ業界は大手3社への再編も進んでいる。
またスーパーも全国チェーン、地方スーパー共に伸び悩んでいる。2000年当時、約16兆円ほどあった市場規模は、2010年代に入ってからおよそ13兆円前後にまで減少。地方スーパーも人口減少が著しい地域では苦戦を強いられている。百貨店に至っては、地方の中核都市にある店舗が次々と閉店するなど、縮小に歯止めがかからない。
それでは、なぜ小売業の店舗ビジネスが苦戦を強いられているのか。さまざまな要因があることを承知の上で、ここでは2つの要因を挙げたい。
まず1つ目は「人口減少」だ。ご存知の通り、日本の人口は2008年をピークに減少を続けており、厚生労働省の人口動態統計によれば、2020年は約53万人純減している。鳥取県の人口がおよそ57万人ということを考えると、今後は県1つが消失してしまうほど人口が減少する時代に突入する可能性は十分にある。
人口が減り続ければ、小売業にとって市場が縮小し続けることを意味する。消費者の「数」に売り上げが依存していると、人口減少の影響はより大きく受けることになるだろう。
もう1つは「ECの台頭」だ。スマートフォンを活用して、誰もがインターネットにアクセスできる時代に、購買行動もインターネットにシフトしつつある。実際、ECの市場は年々拡大している。
しかし、Amazonや楽天など強力なプレイヤーがいるだけでなく、新規参入するプレイヤーも増えており、市場拡大の恩恵を受けるのも容易ではない。小売業でも「オムニチャンネル」という概念が登場しているように、小売業ではECの存在も念頭に置きつつ、店舗ビジネスを展開するのが現実的ではないだろうか。

それでは、店舗ビジネスで今後も収益を伸ばすにはどうすればいいのだろうか。その鍵を握るのが「顧客体験価値の向上」だ。ビジネスの分野で声高に叫ばれるようになったこの言葉は、今後の店舗ビジネスを展開する上でより重要性を増すだろう。
ECとの比較において、店舗の良さは五感を通じて商品を見たり、触れたりできる点にある。これはデジタルにはない、フィジカルならではのメリットだ。この価値をストレスなく、消費者の期待値以上の形で提供できれば、店舗から創出される付加価値はさらに高まるだろう。
今回のテーマであるAIカメラは、これを実現するために活用されるのが望ましい。
それでは、実際にAIカメラはどのように活用できるのか。ここでは、4つケースを示したい。
AIカメラで収集できる情報として、まず入店者数が挙げられる。どの時間帯に、どれだけの顧客が店舗に訪れるか可視化することで、タイムセールなどがより効果的になる可能性もある。
またAIカメラでは、性別や年齢など顧客の大まかな属性情報なども収集可能だ。これらの属性情報に基づいたプロモーションなどを実施すれば、店舗に足を運ぶ顧客も増え、収益増につながることも考えられる。
入店者数が増える時間帯が予測できれば、それに基づいてシフトも組みやすくなる。混雑時のレジ待ちなどの時間が短縮するだけでも、顧客体験価値は向上するはずだ。また顧客の購入点数が時間帯によって異なり、レジ打ちにかかる時間にもバラつきがある可能性もある。
業務を改善して、従業員の生産性向上を実現するためにも、AIカメラは役立つだろう。
AIカメラによって、売り場のどの地点で滞留が発生しているかなどがヒートマップによって可視化できる。
これをもとに、棚の拡充や場所の変更などデータに基づいて検討が可能になる。これも、店舗における顧客体験価値を上げる大きなポイントとなるだろう。
いわゆる「ついで買い」が促進するような店舗設計も、AIカメラから収集した情報と実購買データを照らし合わせることで可能になるだろう。
データ分析の領域で非常に有名な話として、「おむつを購入した人は、ビールも同時に購入する傾向がある」という事例がある。もしこのようなインサイトがデータ分析から得られれば、それを踏まえた店舗レイアウトが可能となる。
またAIカメラを用いれば、収集したデータをもとにそのレイアウトは実現可能か、もしくはより「ついで買い」を実現するより良いレイアウト案が生まれるかもしれない。
このように実購買データとAIカメラの情報を組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になるだろう。
AIカメラによって、店舗に侵入した不審者を追跡することも可能だ。店舗において、万引きなどの対策は大きな課題だ。
仮に店舗内で不審者が違反行為をし逃れたとしても、性別や属性、顔の画像などをAIカメラを通じて収集していれば、犯人の特定もしやすいだろう。
ここまで挙げた通り、店舗におけるAIカメラの活用の範囲は広い。近年は、初期費用を比較的抑えたソリューションも登場しており、導入へのハードルも低くなっている。店舗ビジネスのDXを推進するきっかけに、AIカメラを検討するのは1つの手段と言えるかもしれない。
AIカメラの導入でまずコストがかかる部分は、AIの「学習」だ。これに対しては学習済みモデルを利用できるAIカメラサービスが有用だ。これにより大きくコストを下げられるが、必要な機能がそろっていなかったり、利用方法や利用場所によってカスタマイズが必要なことも。
そんな心配がないのが、オプティムが提供する「OPTiM AI Camera Enterprise」だ。業界や業種別に300種類もの画像解析サービスを用意しているため、スピーディーにかつ低コストでAIカメラが導入できる。

小売業界向けの「OPTiM AI Camera Enterprise for Retail」では、「入店者数・店舗前の通行人数カウント」「ヒートマップでの滞留状況可視化」「ピークタイムの予測」「来店客の属性分析」「不審者挙動検出」といった機能が準備されており、カメラと映像解析ハードウェア(OPTiM Edge)をつないですぐに分析を開始することができる。
また、一部の監視カメラは、そのまま利用可能だ。こうした点もコストの低減に寄与するだろう。
低コストでAIカメラを導入し、店舗体験価値の向上を目指すなら、「OPTiM AI Camera Enterprise」の利用を検討したい。
「OPTiM AI Camera Enterprise」(小売向け)について詳しくはこちら
https://www.optim.cloud/services/ai-camera-enterprise/retail/
今回は、そのきっかけとなりうるソリューションとして「AIカメラ」を取り上げたい。なぜAIカメラが店舗ビジネスの成長に必要となりうるのか、小売業を取り巻く環境などを踏まえて考えてみる。
小売業の店舗ビジネスは大転換点に
まず、店舗ビジネスを展開する小売業が置かれている現状を見ていこう。
スーパーやドラッグストア、コンビニや百貨店など、店舗を展開している小売業にもさまざまな形態があるが、全般的に伸び悩んでいる感は否めない。業界全体の売り上げが伸びているドラッグストアですら、2020年はコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて訪日外国人客が減少し、成長が鈍化している。
ここ数年で伸び悩みが顕著なのが、私たちにとって馴染みがあるコンビニエンスストアだ。2000年代に入ってからも、出店は伸び続けていたものの、2017年に出店純増数が1000店を割り込み、2019年には出店数の純減に直面した。市場全体の伸びが止まりつつ影響もあるのか、コンビニ業界は大手3社への再編も進んでいる。
またスーパーも全国チェーン、地方スーパー共に伸び悩んでいる。2000年当時、約16兆円ほどあった市場規模は、2010年代に入ってからおよそ13兆円前後にまで減少。地方スーパーも人口減少が著しい地域では苦戦を強いられている。百貨店に至っては、地方の中核都市にある店舗が次々と閉店するなど、縮小に歯止めがかからない。
店舗ビジネスが考えるべき2つの事象
それでは、なぜ小売業の店舗ビジネスが苦戦を強いられているのか。さまざまな要因があることを承知の上で、ここでは2つの要因を挙げたい。
まず1つ目は「人口減少」だ。ご存知の通り、日本の人口は2008年をピークに減少を続けており、厚生労働省の人口動態統計によれば、2020年は約53万人純減している。鳥取県の人口がおよそ57万人ということを考えると、今後は県1つが消失してしまうほど人口が減少する時代に突入する可能性は十分にある。
人口が減り続ければ、小売業にとって市場が縮小し続けることを意味する。消費者の「数」に売り上げが依存していると、人口減少の影響はより大きく受けることになるだろう。
もう1つは「ECの台頭」だ。スマートフォンを活用して、誰もがインターネットにアクセスできる時代に、購買行動もインターネットにシフトしつつある。実際、ECの市場は年々拡大している。
しかし、Amazonや楽天など強力なプレイヤーがいるだけでなく、新規参入するプレイヤーも増えており、市場拡大の恩恵を受けるのも容易ではない。小売業でも「オムニチャンネル」という概念が登場しているように、小売業ではECの存在も念頭に置きつつ、店舗ビジネスを展開するのが現実的ではないだろうか。
「顧客体験価値の向上」を実現するためにAIカメラを活用する

それでは、店舗ビジネスで今後も収益を伸ばすにはどうすればいいのだろうか。その鍵を握るのが「顧客体験価値の向上」だ。ビジネスの分野で声高に叫ばれるようになったこの言葉は、今後の店舗ビジネスを展開する上でより重要性を増すだろう。
ECとの比較において、店舗の良さは五感を通じて商品を見たり、触れたりできる点にある。これはデジタルにはない、フィジカルならではのメリットだ。この価値をストレスなく、消費者の期待値以上の形で提供できれば、店舗から創出される付加価値はさらに高まるだろう。
今回のテーマであるAIカメラは、これを実現するために活用されるのが望ましい。
AIカメラは、店舗でどのように活用できるのか?
それでは、実際にAIカメラはどのように活用できるのか。ここでは、4つケースを示したい。
1. 入店者数に基づいたプロモーション
AIカメラで収集できる情報として、まず入店者数が挙げられる。どの時間帯に、どれだけの顧客が店舗に訪れるか可視化することで、タイムセールなどがより効果的になる可能性もある。
またAIカメラでは、性別や年齢など顧客の大まかな属性情報なども収集可能だ。これらの属性情報に基づいたプロモーションなどを実施すれば、店舗に足を運ぶ顧客も増え、収益増につながることも考えられる。
2. 適切なシフト表が組める
入店者数が増える時間帯が予測できれば、それに基づいてシフトも組みやすくなる。混雑時のレジ待ちなどの時間が短縮するだけでも、顧客体験価値は向上するはずだ。また顧客の購入点数が時間帯によって異なり、レジ打ちにかかる時間にもバラつきがある可能性もある。
業務を改善して、従業員の生産性向上を実現するためにも、AIカメラは役立つだろう。
3. 店舗レイアウトの改善
AIカメラによって、売り場のどの地点で滞留が発生しているかなどがヒートマップによって可視化できる。
これをもとに、棚の拡充や場所の変更などデータに基づいて検討が可能になる。これも、店舗における顧客体験価値を上げる大きなポイントとなるだろう。
4. 実購買データと合わせた店舗レイアウトの設計
いわゆる「ついで買い」が促進するような店舗設計も、AIカメラから収集した情報と実購買データを照らし合わせることで可能になるだろう。
データ分析の領域で非常に有名な話として、「おむつを購入した人は、ビールも同時に購入する傾向がある」という事例がある。もしこのようなインサイトがデータ分析から得られれば、それを踏まえた店舗レイアウトが可能となる。
またAIカメラを用いれば、収集したデータをもとにそのレイアウトは実現可能か、もしくはより「ついで買い」を実現するより良いレイアウト案が生まれるかもしれない。
このように実購買データとAIカメラの情報を組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になるだろう。
5. 不審者のトレース
AIカメラによって、店舗に侵入した不審者を追跡することも可能だ。店舗において、万引きなどの対策は大きな課題だ。
仮に店舗内で不審者が違反行為をし逃れたとしても、性別や属性、顔の画像などをAIカメラを通じて収集していれば、犯人の特定もしやすいだろう。
ここまで挙げた通り、店舗におけるAIカメラの活用の範囲は広い。近年は、初期費用を比較的抑えたソリューションも登場しており、導入へのハードルも低くなっている。店舗ビジネスのDXを推進するきっかけに、AIカメラを検討するのは1つの手段と言えるかもしれない。
導入しやすいAIカメラ「OPTiM AI Camera Enterprise」
AIカメラの導入でまずコストがかかる部分は、AIの「学習」だ。これに対しては学習済みモデルを利用できるAIカメラサービスが有用だ。これにより大きくコストを下げられるが、必要な機能がそろっていなかったり、利用方法や利用場所によってカスタマイズが必要なことも。
そんな心配がないのが、オプティムが提供する「OPTiM AI Camera Enterprise」だ。業界や業種別に300種類もの画像解析サービスを用意しているため、スピーディーにかつ低コストでAIカメラが導入できる。

小売業界向けの「OPTiM AI Camera Enterprise for Retail」では、「入店者数・店舗前の通行人数カウント」「ヒートマップでの滞留状況可視化」「ピークタイムの予測」「来店客の属性分析」「不審者挙動検出」といった機能が準備されており、カメラと映像解析ハードウェア(OPTiM Edge)をつないですぐに分析を開始することができる。
また、一部の監視カメラは、そのまま利用可能だ。こうした点もコストの低減に寄与するだろう。
低コストでAIカメラを導入し、店舗体験価値の向上を目指すなら、「OPTiM AI Camera Enterprise」の利用を検討したい。
「OPTiM AI Camera Enterprise」(小売向け)について詳しくはこちら
https://www.optim.cloud/services/ai-camera-enterprise/retail/
日経業界地図 2022年版 | 日経の本 日本経済新聞出版
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32422
総務省|平成30年版 情報通信白書|人口減少の現状
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd101100.html
人口動態総覧の年次推移[PDF]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/04_h2-1.pdf
おむつとビール(おむつとびーる):情報マネジメント用語辞典 - ITmedia エンタープライズ
https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0504/18/news086.html
https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/32422
総務省|平成30年版 情報通信白書|人口減少の現状
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd101100.html
人口動態総覧の年次推移[PDF]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/04_h2-1.pdf
おむつとビール(おむつとびーる):情報マネジメント用語辞典 - ITmedia エンタープライズ
https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0504/18/news086.html
WRITTEN by
山田 雄一朗
大学院で経営工学の修士号を取得した後、IT企業の営業としてキャリアを歩む。その後、経済メディア「NewsPicks」にて記事の執筆から動画配信など幅広い業務に従事して独立。ビジネスや最先端テクノロジーなどを踏まえた「XTech(クロステック)」の記事制作に強みを持つ。
AIのビジネス活用に関する
最新情報をお届け