導入事例
<特集>今すぐ読める!AIカメラの活用事例

7年に1度開催の飯田「お練りまつり」、感染防止対策にAIカメラを活用したワケとは?

AI Start Lab 編集部 2022.5.27
長野県南部に位置する飯田市。信州の小京都とも呼ばれる風光明媚なこの場所で、7年に一度開催されている伝統祭が「お練りまつり」です。300年にわたり脈々と継承されてきたこの祭りは、江戸時代を思わせる装束を身につけた絢爛豪華な大名行列や、重量30キロの大獅子が街中を舞うなど見どころ満載。県内外から多くの人が集まるため、祭りの開催中の市街地は例年混雑します。

2022年3月、新型コロナの感染防止対策を万全にした状態で開催を決定しました。混雑緩和対策の一環として、「OPTiM AI Camera」を導入。どのような背景で活用の判断に至ったのか、詳しい話をキーマンたちに聞きました。

AIカメラ導入のきっかけとなった7年前の課題と対策


飯田お練りまつりの様子

飯田お練りまつりでの「OPTiM AI Camera」活用のきっかけは、前回開催時の2016年に遡ります。祭りの運営を担う飯田市の商工会議所は、ひとつの課題を抱えていました。それは大名行列や獅子舞が街中を練り歩くことによって生じる、観覧客の問い合わせ対応の負担です。

当時から商工会議所の相談を受け、OPTiM AI Cameraの導入にも携わったキーマンの一人、飯田ケーブルテレビの中島正浩(なかしま・まさひろ)さんは、こう話します。

飯田市からリモートで参加してくださった中島さん

「お練りまつりは、各団体の裁量で市街地を巡回します。詳細なコースを決めてないことが特徴のひとつです。ただ、見たい演目の場所を知りたい観光客の方もいらっしゃいます。そうした方は、本部に直接電話の問い合わせをするしかありませんでした。観光客の方が観覧したい演目の場所を把握できるようにするため、ITツールを探していました」(中島さん)

飯田市は人口10万人をきる小規模な自治体のため、市内でめぼしいITツールを開発している企業を見つけることは難しかったと言います。中島さんは前職でシステム開発に従事していたこともあり、ITツールのリサーチを担当することになったといいます。

「GPSで団体の位置を把握し、スマホのウェブブラウザで確認できるITツールを探しました。来場者がアプリを入れるハードルの高さを考えると、ウェブで確認できることが前提にありました」(中島さん)

コストやカスタマイズのしやすさで絞り込んだ結果、選んだのは営業活動管理ツール「cyzen(サイゼン)」だった。同ツールを開発するレッドフォックスの服部康男(はっとり・やすお)さんは、飯田お練りまつりでのツールの活用について次のように説明します。


「cyzenは、営業活動を支援するネイティブアプリとして位置情報を共有する機能を備えています。7年前はこれを活用して、各団体の位置情報を把握するようにしました。たとえば、獅子舞を担当する方にアプリを入れてもらい、位置情報を発信してもらうといった運用です」(服部さん)


当時はスマホのGPS精度が現在ほど高くなく、バラつきがあったとのこと。中島さんは10台ほどスマホをレンタルし、車で移動するとき同時にGPS精度を確認。GPS精度の高いスマホをレンタルしたと言います。

密回避対策の必要性が急浮上。来場者の安全安心のため混雑状況をAIカメラで可視化



2015年の取り組みは来場者から歓迎され、喜ばれたとのこと。当初の課題だった電話での問い合わせも、10分の1以下に減ったと実感しているそうです。

それから7年の歳月が過ぎ、今年2022年3月の開催にあたっては、新たにコロナ禍という課題が浮上。「どこで何の演目が見られるのか知りたい」というニーズから、来場者の安全安心を守るため「どこが混雑しているかを把握したい」という必要性へと変化しました。

「2022年1月になってから飯田市で感染が拡大。主催者側としては、密を回避するための方策を検討することは必須でした。今回もcyzenを導入する予定でしたが、密の回避にあたってどのような活用が可能なのかをいちから検討しなければなりませんでした」(中島さん)

レッドフォックスの服部さんをはじめアイデアを出し合い、「混雑状況の見える化」という結論に到達。複数の案がある中で、OPTiM AI Cameraの活用の検討が進められたとのこと。

「服部さんが下調べをしてくださり、『OPTiM AI Cameraなら連携できます』と提案してくれました。重視したのは費用と精度、cyzenとの連携のしやすさです。とりわけ使える費用は前年度に確定しているので、導入コストは抑えなければいけません。その点、OPTiM AI Cameraの料金は良心的でしたし、カメラ1台1万円程度で購入できたのは非常に助かりました」(中島さん)

OPTiM AI Cameraはカメラの設置状況に合わせたAIの解析手法(モード)が用意されており、飲食店などの屋内から人が多く集まる屋外のイベントまで対応している

「OPTiM AI Camera以外のツールも検討しました。ただ、祭りでの使い方を相談したところ、システム連携にあたってプログラムの修正をしなければいけなかったので、使い勝手の観点でOPTiM AI Cameraを推しました。我々としては、 屋外を撮影して画像解析を行い、人数を正確に把握する、そのあたりをすべてカバーしていたのが、OPTiM AI Cameraでした。屋外での人数検知に対応しているという点がポイントでした」(服部さん)

AIカメラを7年後の祭りの運営の在り方のヒントに


祭りの様子を撮影した当時のカメラ画像(来場者に表示したものではありません)

3日間にわたる飯田お練りまつりでは、OPTiM AI Camera を4カ所に設置。カメラの設置に関しては、匿名性が担保されていることから大きな抵抗はなかったそうです。祭り期間中に公開される「NERIなびサイト」にスマホやPCからアクセスすると、人の密集具合に応じて、「混雑」「やや混雑」と表示できるように設定したとのこと。

「何人以上を混雑と定義するか、実際に運用してみないと判断が難しいため、具体的な人数の閾値は当日の混雑状況も踏まえながら判断しようと考えました。最終的には映し出される範囲に70名くらいが密集していると『やや混雑』、100名くらいで『混雑』と表示させることになりました。人数の閾値を設定したら『やや混雑』と『混雑』は自動的に切り替わりますので、最初に閾値の設定をどうするかは注意深く検討しました」(中島さん)

OPTiM AI Cameraには、人の全身をアイコンに変換して、個人情報を伏せた状態の画像をウェブサイトに掲載することもできます。しかし、「ユーザーにとっては直感的に混雑状況を把握することが第一」との考えのもと、アイコン画像の掲載は行わなかったそう。

というのも、例えば表通りの混雑状況を店舗の2階から撮影するといった形になったためで、画面に映る人数がかなり多くなることを考慮した結果でした。


本来、祭りは混雑によって賑わいが醸成されるもの。その意味で、今回の混雑可視化の取り組みは、来場者の不安を極力取り除くためとはいえ、集客と社会的モラルの両立の矛盾にどう折り合いをつけるかという難しい判断が必要でした。ただ、ポジティブな利用方法のヒントも見つかったと中島さんは振り返ります。

「祭り期間中はシャトルバスの運行もありますので、バスを待つ人の数を可視化できれば、来場者の利便性にもつながります。駐車場の混み具合も事前に把握できれば助かりますよね。7年後はネガティブ要素の排除のためではなく、利便性の追求に向けてOPTiM AI Cameraの利用を推進していければと思っています」(中島さん)

感染症パンデミックという未曽有の事態によって危ぶまれた伝統ある祭りの開催。事実、反対の声もあったといいます。そうした中、新しいテクノロジーを活用して、感性拡大の抑制と文化の伝承の両立にチャレンジした今回の事例は、ウィズコロナ時代の社会運営のヒントになるかもしれません。今回、来場者にとって一定の安心感につながったという意味で、次世代につながる取り組みだといえるのではないでしょうか。


「cyzen」について
https://www.cyzen.cloud/

混雑可視化機能をもつ、AI画像解析サービス「OPTiM AI Camera」なら、店舗や施設の混雑状況をプライバシーを保護しながら公開し、来店前にお客さまに見ていただくことで混雑時間帯を避けてご利用いただくことが可能に。

「OPTiM AI Camera」詳しくはこちらから
https://www.optim.cloud/services/ai-camera/


取材・文=末吉陽子
撮影=齋藤葵

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