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ビル管理のDX!三菱地所はAIを活用した「次世代カメラシステム」で人手不足に先手を打つ

AI Start Lab 編集部 2022.6.17
デジタルテクノロジーの浸透により、さまざまな業界でビジネスモデルのイノベーションが加速している。これまでアナログ業務からの脱却が難しかったビル管理業界も、人手不足の解消や業務負担の軽減などに向けて、脱・属人化の動きが活発だ。

「大丸有(大手町・丸の内・有楽町地区)エリア」を中心とするビルの運営管理を事業の柱のひとつにしている三菱地所も、デジタルテクノロジーを活用した先進的な取り組みをスタート。大丸有エリアのビルの既設カメラを閉域ネットワークでつなぎ、複数ビルをまとめて一括管理。さらにAI画像解析による異常の検知によって、より安心安全な管理を実現するべく「次世代カメラシステム」を構築した。2021年度末に6ビル、2022年度末には8ビルを接続する予定だ。このプロジェクトを推進した同社担当者に、取り組みの詳細を聞いた。


ビル管理や警備をAI画像解析で最適化&高度化


三菱地所は、大丸有エリアの再開発にともない、この20年で管理面積は約2倍に増加。2027年度には、東京駅近くに高さ390メートルの超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」の開業を予定。管理面積が飛躍的に増加する見込みだ。


こうした背景を受けて、これまでの管理手法を抜本的に見直す必要に迫られたと話すのは、管理・技術統括部 兼 DX推進部 兼 関西支店の長井健輔(ながい・けんすけ)氏。

「従来のビルの管理手法を端的に表現するならば『人海戦術』。とりわけ警備業務は、人による立哨・巡回警備が標準でした。これまではそれで問題なかったのですが、今後は人手不足の深刻化が予想されており、コストの負担増も懸念されるようになりました。特に毎日同じ場所を立哨・巡回する仕事に対して、ストレスを感じる人は少なくありません。2017年頃から、これらの課題に対する有効な打ち手を検討する議論が社内で本格化しました」(長井氏、以下同)

警備業務の合理化は、安心安全の向上のみならず、実務を行う警備員の職務環境の向上にもつながる。多角的な観点で議論を重ねた結果、AI画像解析やロボットなど次世代のテクノロジーを活用した警備手法の導入にたどり着いたという。


「人による管理の一部をデジタルテクノロジーに置き換えて、人にしかできない仕事を残すかたちで管理体制を構築する。これは、全社で目指すオフラインとオンラインが融合する新しい街づくりの方針『三菱地所デジタルビジョン』にも合致する取り組みでした」


エリア内20棟のビルのカメラをまとめて管理する「次世代カメラシステム」


新たな管理手法の目玉となるプラットフォームにあたるのが、「次世代カメラシステム」の構築だ。「次世代カメラシステム」とは、すでに大丸有エリアに設置している監視カメラや敷設されている光ファイバー網を活用し、最新のVMS(ビデオマネジメントシステム)に情報を集約、AI画像解析システムでの解析を行うという仕組みだ。

これまでビル1棟ごとにカメラの制御や管理を実施してきたが、「次世代カメラシステム」では最大4万台のカメラを接続できるようになるため、複数ビルの一括管理が可能になる。現在は、丸の内エリア約20棟のビルのカメラを順次接続し、一括管理する予定だ。

次世代カメラシステムと一般的なカメラシステムの違い(画像:三菱地所)
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec211124_jisedaicamera.pdf

エリア全体をひとつのビルに見立てたカメラシステムが実現したため、人材配置や業務そのものの組み換えもセットで行わなければならないという。

従来は、立哨・巡回警備も、最終的には人の目による判断だけに依存するほかなかった。その点、AI画像解析ならすばやく異常を検知し、発見の遅れや漏れを抑えることも可能だ。

ところで、この「次世代カメラシステム」の特徴は、ひとつのベンダーにシステム開発のすべてを委ねるのではなく、既存の製品やシステムを組み合わせて構築しているところ。今後登場するであろう新しいテクノロジーをクイックに接続したいという意向や、コストメリットを踏まえて、既存の製品を組み合わせる方法を選択した。

監視カメラ画像に対し、AI画像解析を行う時に問題となるのが、どのような画像解析モデルを用いるかだ。特に今回のように警備や混雑状況の把握からマーケティング的な活用まで、幅広く目的とする場合は、それぞれも目的に合った画像解析のモデルが必要となる。

しかし、一からこのような多目的な画像解析モデルを開発しようとすると膨大な開発費用がかかることが見込まれる。そのため、すでに実績のある既存のAI画像解析サービスを採用し、組み合わせることでコストもカットできて、導入にかかる期間も短期間で済むことになった。

ただし、大丸有エリア全体の監視カメラ映像をVMSに集約するにあたって、仮にクラウドで処理する場合、通信料が膨れ上がってしまう。その点、エリアに敷設した光ファイバー網をネットワークとして利用できたことは、大きなアドバンテージになったという。


管理業務からマーケティングまで。広がるAI画像解析の可能性


「次世代カメラシステム」の特徴は、先述のように複数のAI画像解析サービスを活用しているところだ。各社のサービス・製品はそれぞれに得意分野があり、それを組み合わせることで幅広い目的に用いることができるよう構築している。ちなみに、それぞれのサービスの採用基準は、画像解析の精度が実用的かという点と導入・運用コストの両面から選定したという。

現在、大きく2つの目的に紐づけて、各サービスを検証中だという。具体的には次の通りだ。

【目的1/来街者・就業者満足度の向上】
「施設やエリアに足を運ぶ人の満足度向上につなげるため、店舗をはじめ丸の内のメインストリートである「丸の内仲通り」などの混雑状況把握や、施設店舗運営のための通行量調査、人流・属性分析データの取得に必要なAI画像解析サービスを導入しています。具体的には、オプティムが提供する『OPTiM AI Camera』の混雑検知、ニューラルポケットの人数カウントのサービスを検討しています」
「OPTiM AI Camera」による混雑検知のイメージ画像。人物の位置を自動判別・完全匿名化を施し、モニタリング画面に表示。閾値を設定することで、混雑度合のステータスを管理画面上で確認できる(画像:OPTiM)https://www.optim.cloud/services/ai-camera/


【目的2/安心・安全の向上】
「案内板前で迷っている方、目が不自由な方、転倒された方、体調不良の方など見守り対象者をはじめ、暴力行為や不審物放置などあらゆる異常の早期発見・対応による安心、マクニカの異常検知ソフトウエア『icetana(アイセタナ)』等を導入しています」

「次世代カメラシステム」全体としては、その他にも災害への対応強化のためにモニターを一元化して被災状況の迅速な把握と的確な対応を可能にする施策や、イベントなどの外部データを活用して最適な施設運営の構築のための施策、各種サービスロボット(警備、清掃、運搬、配膳など)と連携した施策なども進められている。

取材させていただいた本社ビルでも、配膳ロボットが稼働していた

「『次世代カメラシステム』は業務の最適化だけではなく、人の力だけでは行き届かないような、きめ細かい管理を可能にします。ただし、プライバシーには最大限配慮しなければなりません。オプティムのAI画像解析サービスに含まれる匿名化技術などは不可欠だと思います。これからも、そのときどきに必要なサービスを取り入れながら、管理業務の合理化やマーケティングへの活用など、付加価値をもたらすシステムに発展させていきたいです」

属人的な管理からデジタルテクノロジーの管理へと舵を切る三菱地所。後世、ビル管理業界のビジネスモデルを語るとき、三菱地所の「次世代カメラシステム」は大きなトピックのひとつになっているだろう。


取材・文=末吉陽子
撮影=齋藤葵

次世代カメラシステム|三菱地所プレスリリース
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec211124_jisedaicamera.pdf

OPTiM AI Cameraについて
https://www.optim.cloud/services/ai-camera/


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