導入事例

「違和感」のある行動を検知するAIとは?新時代の警備システム「アジラ」

AI Start Lab 編集部 2022.8.4
2022年1月にリリースされた施設向けAI警備システム「アジラ」は、既存の防犯カメラシステムに追加することで、独自のAIにより24時間監視を行い、異常行動を検知。警備の負担を軽減するとともに、アラートを出すことで即時の対応を可能とする。

「アジラ」を開発したのは、「事件事故を未然に防ぐ」をビジョンとして掲げ、世界トップクラスの行動認識AI技術を持つ、株式会社アジラだ。
今回、製品の特徴や導入事例、今後の展望について、IVAプロダクト事業部の山下勝也さんにお話を聞いた。

お話を伺った山下勝也さん

通常の行動から外れた「違和感」を検知する


創業以来、AIによる「行動認識技術」についての研究開発を行っている株式会社アジラ。その社名を冠した警備システム「アジラ」は監視カメラの映像を解析して、人物の行動を認識・解析する。このシステムで検出できる異常行動は、大きく分けて次の5つだという。
資料:アジラ提供

  • 殴る、蹴る、傘を振り回しているなどの「喧嘩暴力行為」。
  • 歩いている時に転んだり、その場に倒れてじっとして動かない人を検出する「転倒」。
  • ヨロヨロと歩いている人を検出する「ふらつき歩行」。
  • その場にずっと居座り続けている「長時間の滞留」。
  • 通常とは異なる「違和感行動」

このなかで、「違和感行動」の検出がアジラ最大の特徴だと山下さんは話す。


「最初にそのカメラの画角特有の『通常の行動』を学習し、そこから逸脱した行動(=違和感行動)に対してアラートを出します。ほかの4つとは違った検出のアプローチです。具体的に言うと、カメラを設置した最初の一週間でカメラごとに『通常行動』を学習します。道や通路を普通に歩いている人、それが大多数ですが、例えば、その場に座り込む人とか、自動販売機の横で何かしているような人が出てきたとき、通常から『逸脱』するので、そういう行動を『違和感』と定義してアラートを出します」(山下さん、以下同)

「喧嘩暴力行為」にしても、「転倒」にしても、すでに学習済みの行動を検知するが、「違和感行動」はその場所ごとの行動を学習していく。多数のカメラが設置されていても、1台ごとに学習が行われる。まさにAIの本領というところだが、それを実現するためには、高い技術が必要となる。

「このAIの処理技術は弊社の特許技術であり、一番の強みとしている部分です。軽量化しつつ、精度は保ったまま処理を行うことが可能です。現在では、大きめのデスクトップPC程度のサーバー1台でカメラ50台分を処理ができます。

軽量化についてはさらにR&D(研究開発)が進めば、100台程度にまで処理能力が上がる可能性があると考えています。処理可能台数が増えれば増えるほど、単価も下がっていきますので、お客様により手頃な価格でサービスが提供できるよう、技術の改良を急いでいます」


「違和感行動」を映像として共有し「現場の可視化」を実現


このような特徴をもつ「アジラ」。警備室や警備員に、異常時のみアラートを出すことにより監視業務の負担を軽減し効率化することができることは想像に難くない。
実際にはどのような現場で、どういった使われ方をしているのか、導入事例についても聞いた。


商業施設、オフィスビルのような大きめの施設、カメラ台数もたくさんあるようなところをメインのターゲットとさせていただいています。東京都江東区にある複合商業施設「深川ギャザリア」さんをはじめ、約10社の企業様に導入いただいています。

プロパティマネジメント系もあれば、セキュリティ部門の方もいらっしゃいますが、デベロッパーさんがメインになります。デベロッパーさんはグループ会社に施設管理会社や、セキュリティ会社を持っていたりされますので、自社向けに導入して、警備の効率化などでのご利用を検討されているところもいらっしゃいます」

「アジラ」はVMS(ビデオマネジメントシステム)でもあるので、異常を検知した際の映像を後から確認できるほか、ダッシュボードで検知数や異常行動の定量化したデータを確認することができる。

こうした「アジラ」は警備の現場だけではなく、オフィスの管理者やデベロッパーにも「現場の可視化」による大きなメリットがあるという。

「先ほどの『違和感行動』というのは、通常から逸脱している行動ですので、そういう行動を検知した場合、あとで映像として確認できます。例えば、ビルの吹き抜けの柵の周辺で子どもが一人で遊んでいるような危ない場面を違和感として検出することが可能です。

こうした映像を、管理者の方と共有することで、まさに「現場の可視化」になります。これが積み重なれば、最終的に何台の防犯カメラをどこに設置すべきなのかということが見えてきますし、この場所は危険なのでカメラを増やしましょうなどといった提案も可能になってきます。

また、『違和感』の検知の基準については、実際に使っていただく中で、お客さまに調整していただけるようになっていますので、それぞれの現場に応じた設定をすることで、誤検知などを減らすことができます。実際、導入いただいている企業さんからは、適切なアラートで警備員さんを煩わせなくていいですねとか、検知すべき物は検知していますという声をいただいています」

アジラのサービスがつくり出す、事件や事故を未然に防止する未来


警備の現場では、通常は何かが起こり、通報を受けてから動くということになるが、「アジラ」に期待されるのは、事故が起こる前の段階での予防だという。


「お客さまから『何か事が起こってからでは遅いよね』ということは、ずっと言われています。例えば、おじいさんが転倒して、大きな事故となってしまう。それでは遅いので、そういう事故が起こる前にいかに予兆や前兆を検出するかということを考えています」

そこで活用されるのが、アジラ独自の技術である、複数のカメラをまたいでトラッキングする技術だという。

「弊社は『事件事故を未然に防ぐ』をビジョンとして掲げているのですが、これを実現する上で、どうしても1台のカメラでは追いつかない部分が出てきます。撮影対象がすぐカメラの外に出てしまうと、もうどうしようもない。

そこにマルチカメラトラッキングの技術が入ることによって、例えば施設の中にこういう違和感を持った人がいますという検知をした場合に、その人をずっと複数のカメラで追いかけることができます。
それが可能になると、違和感の検知についてもカメラ1台での認識よりも精度を上げることができ、事故を未然に防ぐことにつながると思います。

また、多くのお客さまは複数の拠点を持たれていますので、各施設の情報を1カ所で集中的に管理して、場所ごとに立地ごとに、その地域の人の特性なども含めて、「違和感」を予測する形にまで進んでいきたいと思っています。
それができると、いよいよ弊社の目指すビジョンが実現できてくるのかなと考えています」


既存の防犯カメラシステムをAI化できる施設向けAI警備システム「アジラ」。警備の現場はもちろんのこと、「現場の可視化」によって管理者サイドにも大きなメリットをもたらす新時代の警備システムだ。

「違和感」を検知するAI技術、トラッキング技術の進化によって、これからますます活躍の場を広げていくだろうと思われる。今後に期待したい。


AI警備システム「アジラ」について
https://www.asilla.jp/products/


取材:編集部
撮影:齋藤葵
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WRITTEN by

AI Start Lab 編集部

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