導入事例

鉄道業界で活用されている画像解析AIサービスまとめ

AI Start Lab 編集部 2021.1.20
鉄道事業において、人手不足やサービスの複雑化が年々課題となっている。これらの課題に応え、解決するためのカギとなっているのがAIだ。日々データを収集し、それらを解析することで業務効率化や安定した運行の実現へとつなげることが求められている。政府も駅のホームから線路への人の転落を防ぐために、AIなどを活用した事故防止に取り組む鉄道事業者、メーカーを財政支援する方針を固めている。そこで今回は、鉄道事業におけるAIを活用した画像解析サービスを紹介する。

駅を見守る駅AIカメラソリューション


まずご紹介するのは、Will Smartが公共交通事業者向けに提供している「駅AIカメラソリューション」。AIカメラを駅に設置し、改札やホームでの利用者の動向を見守ることで、ホームドア設置の10分の1のコストで転落事故を防止できる。また、逸脱行為なども検知可能なため、不正乗車の対策にもつながるなど、低コストで安全性の向上を図ることができる。

カメラ映像から利用者の人数や属性のデータを取得し、時間帯や車両別の駅の混雑状況を可視化。データは混雑分散のためのダイヤ改正や、利用者への混雑状況のアナウンス等に活用可能だ。課題ヒアリングからシステム導入、保守に加え、効果検証までワンストップで支援。運用後の取得データの分析や分析結果をふまえた改善提案まで対応可能と、サポート面でも安心だ。

人口減少が進み利用者の減少や労働力不足が深刻化する昨今では、持続可能な公共交通網を構築するために、各公共交通事業者が業務の効率化に取り組んでいる。駅の無人化・省人化については、これまで比較的利用の少ない路線を中心に行われてきたが、近年では比較的利用者の多い都市近郊エリアにおいても取り組みが進んでいる。このソリューションは今後も公共交通機関と協力することで、実際の駅における実証実験などの取り組みを進めていくという。

混雑を可視化する「人流可視化ソリューション」



日立製作所が提供しているのが、カメラ画像を活用した「人流可視化ソリューション」だ。これは、カメラで撮影された映像を自動的に解析し、人の動きに対応した人型アイコン画像を生成することで、混雑状況を可視化するシステム。人型のアイコン画像に置換することで個人の特定はされず、性別や立っているか・座っているかも特定できないようにすることでプライバシーを保護している。また、画像内の人が止まっている、動いている、およびその方向なども人型のアイコン画像で表現することで、静止画でも混雑状況がリアルに把握することができる。

さらに、このシステムは出力情報を編集・加工することでさまざまなサービスを提供可能であり、不特定多数に向けて配信することも可能だ。専用センサやビーコンなどは不要で、既存のカメラシステムを流用できるため、既存の資産を有効活用できることもポイントだ。

駅構内の異常検知を行うOPTiM AI Camera


オプティムが提供しているAI画像解析サービスが「OPTiM AI Camera Enterprise」。11の業種に合わせてさまざまな機能がリリースされており、その中では鉄道・交通機関向けとして活用できるものもある。最小限の人員で安全性をAIで実現し、無人駅、混雑する駅、事故が多発する駅などで、人間の代わりにAIが駅を見守ってくれるというサービスだ。

駅ホームにカメラを設置し、放置された不審物や線路内への転落、点字エリア内での停滞など異常があった場合は検知して駅業務従事者に知らせるなど、予期せぬ事故を防いで駅の安全性を高める。また、映像から混雑が多発する駅や時間帯、車両を数値化。混雑の原因を把握し、時差通勤の呼びかけや運行ダイヤ改正による混雑の分散など、各種ソリューションを提供する。さらに、利用者の属性や滞在時間、駅構内での動線、エリアごとの混雑状況なども数値化。定量データを提供することで、駅構内における商業施設開発に役立てることができる。

AIを活用した踏切遮断時における異常検知


踏切遮断における安全性強化を目的に、監視カメラによる遠隔監視とAI画像解析技術の活用による踏切遮断時の異常検知に向けた実フィールドでの実証実験を行ったのが、山陽電気鉄道と山電情報センター。こちらは2020年8月上旬からオプテージとともに開始しているものだ。

踏切における事故の多くが「人」との接触であるという背景から、同社はすべての踏切への非常ボタンの設置や自動車が通行する全踏切(138ヶ所)の障害物検知装置の設置や警報機の遮断操作時間の延長、障害物検知装置の高性能化など、ソフト・ハードの両面から重点的に取り組んでいるが、さらなる安全性強化対策として、オプテージが持つAI技術を活用した画像解析技術を活用し、踏切内に取り残された「人」を自動で検知する実証実験を開始した。

実験では、AI技術の他にも通信技術やWeb開発技術を活用し、踏切の人の往来の映像をリアルタイムに解析。従来の障害検知システムでは検知できなかった、歩行者やベビーカー、車いすといった「人」を検知できるように実地検証を行うことはもちろん、異常を検知した際には、接近する列車の運転士に即時発報を行えるよう、現場設備(特殊信号発光機など)との連動性についても検証を行う。さらに並行して、運転指令室でのアラート認知、状況確認ができる仕組みも開発して検証し、今春の本格運用の開始をめざしている。

なお、踏切の異常検知は鉄道各社で取り組んでおり、実証実験はこのほかにもそれぞれで行われている。

利用者のさらなる利便性・安全性向上へ


鉄道関係の画像解析AIサービスをご紹介した。安全面の確保や人員コストの削減など、鉄道会社の抱える課題は決して少なくない。今後もAIを活用し、蓄積された膨大なデータから適切な施策やソリューションを展開することで、利用者にとって、より安心安全で快適なサービスを提供していくことができるだろう。
印刷ページを表示
WRITTEN by

AI Start Lab 編集部

AI・人工知能のビジネス活用についての情報をさまざまな視点からお伝えしていきます。

AIのビジネス活用に関する
最新情報をお届け

会員登録

会員登録していただくと、最新記事やAI関連のイベント情報を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。