コラム

世界と日本のAIビジネスの市場規模を比較!アメリカ・中国と日本との差は?

AI Start Lab 編集部 2020.10.26
業務効率の向上やコスト削減を目指し、世界中の企業がAI・人工知能の導入に注目している。

総務省が発行した、令和元年版「情報通信白書」によると、日本のAI導入状況は中国・アメリカ・ヨーロッパ主要国を下回り、最も取り組みが進んでいる国は中国だと報告されている。

ここでは、最新の調査結果をもとに、日本と中国及びアメリカのAIビジネス規模について比較してみよう。

AIの導入状況について、日本と世界の現状を知る手かがりになるだろう。

日本のAIビジネス市場は2030年度には5.4倍に


産業別でみると「テクノロジー・メディア・通信」と「金融」では、日本と世界のAI導入状況の差は比較的に小さいことが情報通信白書で示されている。

一方で、「消費者向け産業」「エネルギー」「ヘルスケア」「産業財」などの分野で大きな差があき、日本の出遅れている状況だ。

富士キメラ総研が発表した「2019 人工知能ビジネス総調査」をみてみよう。

2018年度の市場規模は、5,301億円の見込み。PoC(Proof of Concept:概念実証と呼ばれる、戦略仮説やコンセプトの有効性検証)がメインだが、金融業や製造業などでAIの本格導入が進んでいると報告されている。

今後は、さまざまな業種でAIの導入が拡大する見込みで、2030年度のAIビジネス市場規模予測は、2017年度比で5.4倍の2兆1,286億円と予測されている。

なかでも16倍の成長を予測されている注目市場は、データ入力を大幅に効率化できる「AI-OCR」。従来手作業が当たり前だった伝票入力業務を「AI-OCR」が担うため、働き方改革にも対応できるとして飛躍が期待されている。

■参考記事
AI-OCRとは?これまでのOCRとの違いと導入事例を紹介

世界と比較すると、遅れはあるものの、2017年3月に取りまとめられた「人工知能技術戦略」に則り、着実にAI戦略を展開している日本。

2020年2月時点で、AI関連予算に約 3,900億円を計上し、政府としても国家戦略でAI人材の育成や技術開発、AIの社会実装などを後押しする態勢だ。

2018年度当初予算案では、AI関連予算は770億円だったことから考えると、日本政府はAI戦略に本腰を入れ始めたのではないだろうか。

■参考記事
日本政府が推し進める【AI戦略2019】とはどんなものか?

AIビジネスの驚異的な成長で他を凌駕する中国



AI論文発表数が世界最多を誇るなど、AIで目覚ましい発展を続けている中国。2017年7月に、国務院が「次世代AI発展計画」を発表し、2030年までにAIの理論・技術・ 応用全般分野で世界的リーダーになることを目指す、と強い意欲をみせた。

この計画では、AIの中心的産業規模を2020年までに1,500元(2.5兆円)超、2030年までに1兆元(17兆円)超を目標としている。

2019年3月、シリコンバレーに人材を多く送り出しているスタンフォード大学に、AI研究組織「ヒューマンセンタード(人間中心)AI」(HAI)が設立された。この設立に関わったフェイフェイ・リー教授(Fei-Fei Li)は中国生まれだ。

このHAIが発表した「2019 AI Index Report」によると、アメリカのスタートアップと比較すると、中国のAIスタートアップはより多くの投資を受けていることがわかった。

これによると、2018年7月から2019年の7月の間に中国の486社のスタートアップは、なんと総額166億ドル(1.7兆円)、つまり1社あたり3,410万ドル(3.5億円)の投資を受けたことになる。

この金額は、アメリカのスタートアップのおよそ2倍の投資にあたるのだという。

この数字をみれば、中国の2030年のAIビジネス規模目標が、他国と比較して圧倒的な1兆元(17兆円)超と設定されているのもうなずけるのではないだろうか。

なお、「2019中国AI白書」によると、2020年までに中国のAI市場規模は年間成長率51.5%を達成し、42億5,000万ドル(4,476億円)に。また2023年までには市場規模が119億ドル(1.2兆円)に達すると予測している。

アメリカはAIでリーダーシップを守れるのか?



AI R&D(AI研究開発)の世界的リーダーであるアメリカ。北アメリカ全体でみると、2018年のAIビジネス規模は97.2億ドル(約1兆円)の見込みだとフォーチュン・ビジネス・インサイツは報告している。

北アメリカのAIビジネス規模は、中国や日本と比較すると、すでに巨大な市場だったことが読みとれる。

2018年5月に、行政府、民間企業、学界が一堂に集まり『米国産業のためのAI(Artificial Intelligence for American Industry)』というサミットがホワイトハウスで開かれた。

中国の「次世代AI発展計画」に脅威を感じ、AI R&D(AI研究開発)におけるアメリカの国際競争力を維持するための方策を議論するものだった。このとき政府によるR&D予算の投入を含む国家的AI戦略の必要性が話し合われたのだ。

これを受け、アメリカにも、AIに対して国家戦略に相当するものが登場した。

2019年2月11日に、ドナルド・トランプ大統領が署名した大統領令「米国AIイニシアチブ(American AI Initiative)」が、これに当たる。このイニシアチブは、AI分野での米国のリーダーシップを守り促進するために、連邦政府資金をAI開発のために予算組みすることを目的としたものだ。

この時点で資金について金額など詳細は明らかにされなかったが、2020年2月に大きな動きがあった。ホワイトハウスがAI研究開発資金(AI R&D funding)として約10億ドル(約1,100億円)を増額する方向で調整しているというのだ。

こうなると従来の予算と比べて、ほぼ2倍になる。この予算案には、国防省の予算は盛り込まれていない。

2021年の予算案では、今後2年間でAI研究開発資金を約20億ドル(約2,200億円)に増額することが見込まれている。

AI R&D(AI研究開発)ではリーダーの座を守る、というアメリカ政府の決意が十分読みとれるのではないだろうか。

日本はAIビジネスで存在感を発揮できるのか?


できる限り最新の白書などの情報を参照し、日本、中国、アメリカのAIビジネス規模を比較してきた。

AI研究開発では世界的リーダーのアメリカと、野心的なAI国家戦略でAI全般の世界的リーダーを目指して爆走する中国。

両国と比較すると、日本の歩みは非常にスローペースだともいえる。日本は、AI分野でも独自の発展が可能なのかどうか、今後に期待したい。


画像:Shutterstock
印刷ページを表示
WRITTEN by

AI Start Lab 編集部

AI・人工知能のビジネス活用についての情報をさまざまな視点からお伝えしていきます。

AIのビジネス活用に関する
最新情報をお届け

会員登録

会員登録していただくと、最新記事やAI関連のイベント情報を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。