コラム

日本のAIの市場規模の現状と今後の予測は?

AI Start Lab 編集部 2020.10.1
あまり意識はされていないが、AIは着実に生活の中でその役割を増やしつつある。

お掃除ロボットや自動車の安全運転システム、お問合せセンターのチャットボットなどがその一例だ。

すでにAIの活用例は数多いが、現時点の業界規模はどの程度なのだろうか。

この記事ではAI業界の規模の現状と、今後についての予測を解説していく。

AIの国内市場の現状


市場調査会社IRTが2019年12月に公表した調査結果によると、AIの主要市場における2018年の売上金額は199億5,000万円。これは前年比53.5%増で大幅な進捗となっている。

調査対象とされている市場は、画像認識音声認識音声合成、言語解析、検索・探索、翻訳の6部門で、これらは日本のビジネス界で実用化がもっとも進んでいる。

特に画像認識技術は、工場における外観検査や社会インフラの確認、建造物の保全業務などの他、顔認証システムや自動運転技術など応用範囲が幅広い。

AI市場をけん引する6部門は今後も順調な伸びが予測されており、2023年までの年平均成長率は26.5%、2023年度の業界規模は、640億円まで拡大すると見られる。

分野別のAI市場規模



富士キメラ総研が公表した「2019人工知能ビジネス総調査」では、現在市場の中心となっている金融業や製造業から、全業種へのAI活用の拡大が予見されている。

同調査によると、2018年時点では5,301億円の市場のうち半分を構築サービスが占めている。残りがアプリケーションやプラットフォーム事業という内訳だが、今後はソフトウェアやクラウドへのAI搭載がごく当たり前となっていくことで「AIネイティブ化」の広がりが予測される。

業種別動向を確認すると、2018年度見込でもっとも多いのは金融業の1,446億円、次いで組立製造業757億円、プロセス製造業504億円、医療/介護業174億円の順だ。

2030年度の予測値は金融業4,529億円、組立製造業2,616億円、プロセス製造業1,980億円、医療介護業1,093億円と各分野とも4~8倍の伸びが予測される。

特に伸びが期待されるAI市場


AIがパーソナル機器に搭載されることによる、エッジAIコンピューティング市場拡大も確実な路線と見られる。建設機器や倉庫管理システムなどの産業分野に加え、よりきめ細やかに個人ニーズに対応するため、各家庭にあるIoTデバイスへのAI搭載が加速していくだろう。

2018年度時点で110億円のエッジAIコンピューティング市場は、2030年度には664億円に膨らむと予測されている。

またWeb上でのやり取りやチャット、さらに自動車、ロボットといったIoTデバイスに搭載される対話型エンジンのカンバセーションAI市場も、急激な成長が見込まれている。

市場予測では2018年度の84億円から2030年度には293億円になると見られており、顧客向けサービス、社内ヘルプデスクなどの業務も軒並みAIに置き換わる時代が到来するかもしれない。

画像認識技術はすでに各分野での活用が進んでいるが、文書データの読み取りにもAIが期待されている。

AI-OCRはデータをテキストに変換する際、従来のOCR技術にAIを取り入れたシステムだ。

ペーパーレス化が推進される中、既存の文書をデータ化するニーズは根強い。AIの活用により識字率・精度が向上し、低コストでの業務効率改善の実現に期待がかかる。

AI-OCRの市場は2018年度7億円のところ、2030年では32億円規模まで拡大すると予測される。

AI市場拡大と企業の課題



総務省の「平成30年版情報通信白書」によると、企業のIT技術導入状況はIoTが先行しており、AIはそれを追う形となっていることがわかる。

国はITの導入に関して2020年までは、アメリカ、イギリス、ドイツを始めとする欧米諸国と大差ないとしているが、今後については遅れをとることを懸念している。その理由が、企業のAI導入への消極的な解答だ。

総務省の「2017年通信利用動向調査」では、AIの導入企業は約14%。IoT導入企業はわずかにそれを上回るが、その中で今後「AIの導入意向なし」とする企業は61.2%に上る。

AI導入に積極的な姿勢が見られない理由としては、AIに精通した人材が社内で不足していることや、AI導入による事業への効果が不透明であることがあげられる。

調査の中ではAI導入を検討しているのは大企業に多く見られる一方、すでに導入済みなのは比較的規模の小さい企業であることが注目される。

AI導入を行なっているのは全般的に金融・保険、運輸・郵便、サービス業などだ。中小企業では、不動産や運輸業でのAI活用が多く見られる。

中小企業における人材不足などの課題をAIで代替しようとする動きはいまだ明確ではないものの、実績やモデルケースが増加すれば一気に浸透していく可能性が高い。

国の指導のもと、AI人材の育成、技術活用についての企業に向けた教育が急務とされている。

すべての分野でAI導入が検討される時代


AIは魔法のツールではない。しかし日々おびただしいデータが蓄積される時代にあって、そこから最適解を求める方法はAI活用以外になくなるだろう。

例えば運輸業でAI導入が盛んに進められている背景には、不足するドライバーをいかに安全に効率的に運用するかという課題がある。

道路情報、GPS、天候、過去データなどあらゆる情報からもっとも良いルートを割り出せるのは、AIの力あってこそだ。

AIの業界規模は、今後急激な拡大が予測されている。企業運営の継続にあたり、自社に適した形でのAI導入を検討する姿勢が求められる。


日本企業のAI・IoTの導入状況 - 総務省[PDF]
https://www.soumu.go.jp/main_content/000610197.pdf
ITRがAI主要6市場規模推移および予測を発表 | ITR
https://www.itr.co.jp/company/press/191219PR.html

画像出典元:shutterstock
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AI Start Lab 編集部

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