AI入門

採用担当者はAI?採用活動に人工知能を導入するメリット・デメリット

AI Start Lab 編集部 2021.4.6
大手・中小問わず、いまや人手不足は働く現場共通の課題の一つだ。求める人材を効率的に採用することが、今後の企業活動の要となる。

しかし、現在の採用活動は、人事部のマンパワー頼りで行われていることがほとんど。ただ、人手不足の波は、採用にも影響を及ぼしている。そしていま注目されているのが、“AI採用”、つまり人工知能を取り入れた採用活動だ。

今回は、そんな現場の課題を解決するAIサービスについて、導入事例と併せてAI採用のデメリットに触れながら紹介していく。

エントリーシートの選考にAIの活用



とりわけ応募者が殺到するのが、年に一度の新卒採用だ。応募者を知る最初のステップであるエントリーシート選考において、AI技術を活用する企業が増加傾向にある。

広く活用されているのは、過去に採用した社員の応募書類の情報をAIに学習させ、大量のデータから適性の高い人物像を抽出し、新規の応募者情報と照会するという方法。

スキルや学歴の基準を満たした応募者を効率的に探すことができるうえ、誤字脱字やテキスト内容などから、応募意欲の高い人材を洗い出すこともできる。参照するデータ次第では、エントリーシートの使いまわしを見抜くことも可能だ。

適性、応募意欲の高い人材を採り逃すことなく、スピーディーに次の選考ステップへ進むことができるため、時間との勝負とも言われる新卒採用の現場で、広く歓迎されている。

書類選考ツールには次のようなものがある。

書類選考AIツールPRaio(プライオ)


過去のエントリーシートデータを活用し、AIが自社に適した人材情報を学習。基準をもとに、自動的にAIが診断。分析結果をスコアリングし、大量の応募者の中から適性の高い人材を抽出する。

書類選考AIツール「プライオ」

AI面接官は、応募者にもメリット大。


PR TIMESより

近年は、面接官にAIを採用する企業も増えつつある。

従来型の対面式の面接ではなく、PCやスマートデバイスを使った動画面接だ。あらかじめ企業が準備した質問事項への返答内容などから、合否を判定するという。

オンライン上の面談が可能になるうえ、応募者の都合で面談日時を決めることができるため、対面式の面接では不利な立場にあった地方在住者や時間的制約のある転職希望者も、平等に機会を得られるようになった。

また、「相手がAIだから、リラックスして話すことができた」というポジティブな意見も見受けられ、緊張から本来の自分の強みを生かすことができない、といった“面接あるある”の対策にも一役買っているようだ。

これは、自然体な応募者の姿を見たいと考える企業側にも、メリットとなるだろう。
サービス例には次のようなものがある。

タレントアンドアセスメントアプリ SHaiN(シャイン)


スマートフォンにインストールすることで、24時間どこからでも面接をすることができるサービス。企業があらかじめ用意した質問に答える形式で行う。解答の内容が不十分と判断した場合、さらに掘り下げて質問を続ける等の対応も可能。

SHaiN | 場所と時間はあなたが決める!AI面接サービス

人事担当者による評価の適性化にも、AIを活用



AI採用ではなく、「人」だからできる採用のひとつに、応募者の人柄や伸びしろを見て、合否を決めるというケースがある。

しかし人の目という属人的な判断基準には、不透明さや不確かさがあることも事実だ。そんな採用基準の偏りを防止するためにも、AI活用は有効に機能する。

採用アシスタントとしてAIを活用することで、より公正な立場から採用活動を行うことができるだろう。

これには次のようなサービス例がある。

採用・人事評価 課題発見AI「JEFTY(Jargon Explorer For TYping)」


AIが学習した自社内で評価の高いテキスト情報と、応募者の情報から、評価のポイントになる重要な表現を自動抽出。抽出結果と人事担当者の評価ポイントを照会し、評価者がどの評価項目を重視しているかを分析することで、採用基準を可視化する。評価ポイントに偏っているという結果が出た場合、人事担当者にフィードバックを行う。

EY Japan、組織人事コンサルティング領域で自社開発AIの適用を開始|EY Japan

では次に、企業でAIを活用している事例を見てみよう。

ソフトバンクは新卒採用にWatsonや動画解析を活用


ソフトバンク株式会社では、新卒エントリーシート選考と面接にAI技術が活用されている。

<書類選考>
新卒・総合職志望者のエントリーシート選考を効率化するために、IBMのWatson導入。AIが分析するのは、エントリーシート内の「あなたの強みを教えて下さい」という項目への解答のみ。この解答が、ソフトバンク社員の行動指針と合致する学生だけを、自動的に抽出する。

<面接>
集団面接を廃止し、新たにAIによる動画面接を採用。ディープラーニングでAIが学習した採用担当者の判断基準や過去の採用データをもとに、合否を自動判定する。AIが合格と判断した応募者は二次面接に進むことができる。また、AIの判定結果が不採用だった場合は、人事担当者による再考が行われ、最終的な合否を決定する。

*新卒採用選考における動画面接の評価にAIシステムを導入 | プレスリリース | ニュース | 企業・IR | ソフトバンク

同社は、2つの選考プロセスにおいてAIを活用したことで、新卒採用にかかる選考時間をおよそ7割削減することに成功した。

この結果を受け、株式会社エクサウィーザーズと新たなES選考AIを共同開発。現在は、新AIサービスによる新卒採用を行っている。

AIを活用した動画面接は非接触で完結するため、新型コロナウイルスの影響下において、安全に採用活動を行う助けになった。

AI採用の落とし穴は?



AIを活用するメリットを紹介してきたが、やはりデメリットにも目を向ける必要がある。

AIを活用して採用活動を行っていたアメリカAmazonが、女性を差別する機械学習の欠落が見つかったことを理由に、AI採用を打ち切ったという事例を紹介したい。

これは、AIに学習させた過去の採用データに、ジェンダー・バイアスが含まれていたことが原因で起きた問題だ。同じように、過去に男性優位の風土があった日本企業が、これまでの採用データをAIに学習させた場合、応募者が大きな不利益を受ける可能性は高い。

また、過去のデータを基準とした合否判定では、従来型の社員しか集めることができず、 “新しい風”を吹き込んでくれるキーマンの採用機会にも恵まれないだろう。

属人的な業務と思われていた人事の領域に、AIが与える効率化は大きなものだ。

しかし、たとえ時間短縮・効率化ができたとしても、本当に適性のある応募者をふるい落としてしまっては意味がない。自社が必要としている人材と、採用活動に必要なAI技術を見極めることが重要だ。理解し精査した上で、人の目とAIの目を分業していくことが、人事業務効率化への一番の近道ではないだろうか。
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AI Start Lab 編集部

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