AI入門

無人店舗 Amazon Go の仕組みと未来の小売業

AI Start Lab 編集部 2020.10.27
Amazon(アマゾン)が2016年にオープンさせた無人コンビニ「Amazon Go」。
商品を選び店を出るだけで、自動的に決済が完了する画期的な仕組みで話題となった。

Amazon Go誕生から数年たった今、国内外で無人店舗が続々と開設されている。

そこで改めてAmazon Goの仕組みとこれまでの進展を振り返り、未来の小売業のあり方について考えていこう。

レジのないコンビニ Amazon Go


2016年、アメリカ合衆国シアトルでオープンしたAmazon Goは、レジのないコンビニである。スローガン“Just Walk Out Shopping”が示すよう、商品を選び店外に出るだけで、自動的に決済完了する新たなショッピング体験を提供する。

また、ショッピングカートがないのも、一般的なコンビニとの違いである。

ユーザーは商品をそのまま手持ちのカバンに入れて問題ないわけだ。少しばかり、万引きした気持ちになるかもしれないが、Amazon Goなら万引きが起きる確率は極めて低い。

取扱商品は、飲料水やスナック類、サンドイッチなど一般的なコンビニと変わらない。

日本ではよく「無人コンビニ」と紹介されるが、実際には店舗内にスタッフは常駐している。

スタッフの仕事は、ユーザーの対応や商品管理、アルコール飲料販売セクション入り口で年齢確認など。

Amazon Goはテクノロジーを活用することで、人間がより生産性の高い仕事に集中できるようになった例なのだ。

ユーザーはレジに並ぶ必要がないため、早ければ数十秒でショッピング終了となる。

そのため、忙しいビジネスパーソンやヘッドホンで常に音楽を聴く若者たちに受け入れやすい。経営側からすると、人件費の削減や万引き防止などのメリットがあるのだ。

Amazon Goの利用に必要なのはスマホだけ



Amazon Goを利用する際に必要なのは、Amazonアカウントと無料のAmazon Goアプリのみ。出入口に駅の改札ゲートのようなものがあり、そこにAmazon Goアプリをかざすことで、店内に入場できる。

一度店内に入場すると、AIがユーザーを常に追跡する。もしユーザーが商品を取れば、AIがAmazonアカウント内のバーチャルカートに商品を追加する。逆に商品を棚に戻せば、AIがバーチャルカートから商品を削除するというわけだ。

購入する商品を選んだ後、改札ゲートを通過すると、電子レシートが送られ決済完了となる。

Amazonのアカウントとアプリさえ持っていれば、誰でもAmazon Goの利用ができる。

無数のカメラとセンサーで店内の全ての情報を集める


Amazon Goのテクノロジーは、“Just Walk Out Technology”と呼ばれ、自動運転車のテクノロジーと似ている。

“Just Walk Out Technology”は、コンピュータービジョン、センサーフュージョン、ディープラーニングの組合せだ。

無人店舗を実現するためには、人間の代わりとなる監視が必要だ。厳しい監視がなければ、万引きが多発してしまう。

Amazon Goの場合、天井に設置された数百のカメラが、その役目を担っている。

カメラには、コンピュータービジョンと呼ばれる、機械がカメラの映像で捉えた物体を特定する技術が使用されている。

簡単にいうなら、カメラは人間の視覚と同じ働きをする。天井にある無数のカメラは、ゲートを通過したユーザーを常に監視して、どの商品を取り出すもしくは戻したのか識別できるわけだ。

ただ、人間の視覚と同じレベルで画像認識できたとしても、判断精度が劣る場面はある。例えば、ユーザーが同じ商品を2個以上取った時などである。

そこでAmazon Goは、センサーフュージョンを使っている。

センサーフュージョンとは、複数のセンサーから得られた情報を統合的に処理する技術のこと。「Amazon Goでは、商品棚に圧力センサーや重力センサーを設置している。

コンピュータービジョンと複数のセンサーを組合わせることで、より高い精度でユーザー行動を判断できるのである。

2020年には Amazon Go グローサリーが始動



2020年2月25日ワシントン州シアトルで、レジなし食品スーパーAmazon Goグローサリーの運営も開始された。店舗の大きさがAmazon Goの5倍ほどになり、取扱商品数は約5,000点にまで増えた。

仕組みは、Amazon Goと基本的に同じ。ただ、生鮮食品がラインナップに加わったことで、技術のアップグレードが行われた。

例えば、冷凍ケースのドアが曇った時や複数ユーザーが野菜などを手にした時の判断精度向上などである。

店舗としての特徴の一つに、生鮮食品の価格設定が挙げられる。

従来のスーパーでは、生鮮食品は重量によって価格が異なった。一方、Amazon Goグローサリーでは、AIが判断できるよう、重さが多少異なる生鮮食品でも均一価格にしているのだ。

こうすることで、スタッフが食品の重さをはかり、価格を決める作業の削減にもつながる。

Amazon Goが忙しいビジネスパーソンをターゲットにしているコンビニ、Amazon Goグローサリーは近隣に住む主婦や仕事帰りの人をターゲットにしているスーパーという形になっている。

Amazon Go は未来の小売業の姿かもしれない


現在はアプリで入店しないといけないが、顔認証システムが導入されると、スマホを取り出す必要さえなくなるかもしれない。

そうなると、本当の無人店舗の実現もできそうだ。報道によると、アマゾンは2021年までに、レジなしストアを3,000店舗オープンする予定である。

無人レジシステムの外販も計画しており、近い将来Amazon Goの運営スタイルが小売業の大きな流れとなるかもしれない。

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画像:Shutterstock
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