
2020年3月から始まった、新型コロナウイルスによる度重なる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が、ようやく落ち着きを見せた。GoogleのAIによる感染予測自体も終了し、卒業・新入学シーズンを前に第6波はほぼ収束している。
しかし、感染者数の増加と収束は、一定期間で繰り返され、そのたびに不安の声が上がるということを繰り返している。国民の意識は高まってはいるものの、普通に生活していて感染してしまった例も後を絶たない。
そんな中で再び注目されているのが「AIカメラ」だ。REPORTOCEANのレポートによれば、世界のAIカメラ市場は2020年には73億ドル(約8900億円)に到達し、2026年までに150億(1兆8000億円)に達すると予想されている。
AIによって店舗内の利用者の行動を解析することで、入り口での検温や消毒、店内での密の回避のためのスタッフの対応や配慮も軽減できる。利用者にとっても、AIカメラを導入していることで安心感や信頼感が向上するという。
今回は、そんなAIカメラに関する疑問と現状、代表的なサービスをご紹介しよう。
前述のとおり、第6波は落ち着いてきたものの、飲食店などで集まることへの不安や、飲食店を利用しない人からの非難の目は残っており、店舗側としても明確に安全・安心をうたうことが難しい状況は変わりない。
そういった状況を打開するのが「AIカメラ」だ。
AIカメラの機能は多岐に渡るが、多くはカメラで撮影した画像内の人物や物体をAIによって検知するもの。たとえば、飲食店の店員が自分の目や耳からの情報だけで把握できる状況には限度がある。そこで、AIカメラを用いて人数や混雑状況を客観的に把握し、ときには人間の五感ではわからない情報(一定以上の体温の人など)も含めて検知することで、店員の負担の軽減が可能になる。
コロナが沈静化した今だからこそ、今後に向けて導入しておくことで、店舗側のノウハウも貯まり、意識しなくとも適切に対処されているお店、という信頼感も得られるという。
それでは、用途やシーンごとの具体的なAIカメラのサービスを紹介しよう。

「OPTiM AI Camera」は、店舗などの混雑状況をシンプルに可視化し、三密を回避するためのサービスだ。
カメラに映った人を輪郭のみ認識して個人情報に配慮した上で、店舗内の混雑状況を伝えてくれるというもの。ハードウェア自体はもともと監視用に備わっているネットワークカメラを利用可能なため、初期コストも抑えられる。
例えば、カフェやレストランに導入することで、店内の混雑状況を公式サイトや店舗入口のサイネージ(電子掲示板)などに手軽に表示すれば、客が密になりそうな時間帯を避けたり、混雑状況を勘案して、安心して食事などを楽しめる環境を提供できる。11月より新たに、店舗の公式サイトなどに埋め込める簡易ウェブページの生成機能も追加され(追加料金などはなし)、さらに利便性が高まった。
AI画像分析はすべてオプティムのクラウドサーバー上で行われるため、サーバー等の高額な設備投資が必要ないところもポイントだ。カメラは防犯用などで導入済みのものをそのまま利用可能。カメラとインターネット接続環境さえあれば、すぐにAIカメラを導入できる。
これ以外にも、不特定多数の人が集まるホテルのラウンジのような場所や、同じ目的で順番待ちをせざるをえないトイレ待ちの列、スポーツジムのように多くの人が集まりそうな場所への参加前の確認といった目的にも活用できそうだ。
なお、より詳細な客の性別、年齢などをタブレット端末などを用いて分析できる上位サービス「OPTiM AI Camera for Retail」や「OPTiM AI Camera Enterprise」なども用意されている。
OPTiM AI Camera
運営会社:株式会社オプティム
料金:月額 3278円(税込)
主な機能:混雑状況の可視化、混雑時間帯予測、プライバシー対応、アラート配信(サイネージなどのウェブサイト向け、メール)
サービスサイト:https://www.optim.cloud/services/ai-camera/
対応カメラ:※対応機種は順次更新中。詳細は公式サイトへ。 AXIS…M-3045V、M-1065-LW、P1375-E、P1435-LEなど、Canon…VB-S800D Mk IIなど、DODWELL…B・M・S PDC-B3303、PDC-VP3233IRなど、HIKVISION…DS-2DC2185FWD-ISなど、 Panasonic…BB-SC364、BB-ST165、WV-S4150、WV-S3110Jなど 、SONY…Sony SNC-XM631、Sony SNC-EM600など、TOA…N-C5120-3、N-C5220-3など、 Wisenet…XNP-6040Hなど
徐々に解禁され始めた規模の大きなイベント会場は、緊急事態宣言が明けた後も慎重な対応が求められる現場だ。集まる人数も多く、不特定多数の人が行き来する環境だけに、主催者としては未然に防止するだけでなく、感染者・感染の疑いがある人を検出する機能も持ち合わせておきたいところ。
そんな用途に特化しているのが、凸版印刷の「イベント向け感染症対策ソリューション」。イベント向けと銘打っていることもあり、AIカメラを活用したマスク装着の状態や混雑検知に加え、専用カメラにより発熱検知にも対応している。


サービスとしては、イベント会場の入場口に備えられたカメラでマスク装着と発熱を検知するほか、広視野角のカメラでも体表面温度の検知を同時に行い、検知された来場者には引き止めるアラートを通知して対応する。
また、来場者に対してスマートフォンユーザーの多くが利用している「LINE」を活用し、会場で友達登録することで、万が一感染者が発生した際に即座にLINEメッセージで通知を行う。
イベントホールやスタジアムのように会場が固定されている会場はもちろんだが、事前予約やチケット販売が必要ない立ち寄り系のイベントでの感染拡大防止にも対応しやすく、来場者とスタッフの接触も極力減らすことが可能となる。事業者にとっても来場者にとっても、安心できるイベント運営に役立つだろう。
「イベント向け感染症対策ソリューション」
運営会社:凸版印刷
価格:初期費用 110万円~、運用費 3万3000円~/月 ※感染発生時の配信費用は別途見積
機能:AIカメラによるマスク装着・発熱検知・混雑検知サービス、感染発生情報のLINEを活用した配信サービス
対応カメラ:専用品
URL:https://www.toppan.co.jp/news/2020/07/newsrelease200717.html
ネットワークカメラを利用しておらず、まったくゼロからAIカメラを導入したい人にオススメなのが、TOAが提供するネットワークカメラシステム「TRIFORA」シリーズだ。

カメラ本体に学習済みAIモデルを内蔵しており、サーバーなどを介さずにカメラ単体だけでAIカメラ機能を利用できる。
機能としては「人数カウント」によりレジの混雑状況に応じて応援を呼んだり、店内の滞在人数をカウントして密かどうかを判別することができる。また、「通過人数カウント」では、設定した検知ラインを通過した人数を入場/退場ごとにカウントしてくれる。
これらのデータは、抜き出して分析に利用したり、混雑状況などを別途ハードウェアなどと連携させて段階ごとに通知するといった機能もある。ちなみに、撮影した人物をシンボル化するなどのプライバシー保護機能も、別途オプションとして追加可能だ。
利用にあたって必要な知識も、ウェブで公開されている取扱説明書で使い方から機能まで参照できるので、事前に調べておけるのも親切だ。
「TRIFORA」
運営会社:TOA
料金:別途見積もり
主な機能:滞在人数カウント、通過人数カウント、ライブ映像配信(※プライバシー配信機能は有償オプション)
対応カメラ:TOA…N-C5120-3、N-C5150、N-C5150-3、N-C5220-3、N-C5250R3、N-C5420-3、N-C5442R3、N-C5450R3、N-C5820-3、N-C5850R3、N-V5020-1、N-V5050P1
サービスサイト:https://www.toa.co.jp/products/sensing/people-counter/
AIカメラを導入するのに必要なものとしては、以下の2つが必須だ。
これらは、以前は100万円単位の高額な専用製品が必要とされていたが、最近は安価なカメラや、サーバー(業務用の処理能力の高い専用パソコン)を店舗に設置する代わりに、クラウドサーバーを利用した低価格なサービスも普及している。
それぞれどんなものなのかを説明しよう。
まずは、ネットワーク対応カメラだ。これは、カメラにパソコンなどで用いられる有線ポート(イーサネット)や、無線LAN(WiFi)接続などを備えているカメラのこと。いわゆるウェブカメラのようなものだが、ネットワークに対応させるためにやや高額になっていたり、用途や撮影範囲によって撮影範囲を細かく解析できるように、高解像度のカメラが必要な場合もある。
中には、カメラ自体にAI画像分析機能を持たせて、分析するためのサーバーを必要としない単体のAIカメラも販売されている。データの利用場所がカメラ本体のみのため、通信中にデータが流出することを防げるというセキュリティ面での強みもある。
また、安価なサービスの中にはスマホのカメラを利用するものなどもある。
カメラで撮影した映像を分析するためには、別途サーバー(AI画像分析専用のパソコン)が必要だ。一般的にはこのサーバーは店舗内などに設置して、24時間365日稼働させることになる。
専用サーバーは、データ転送にかかるロスが小さく高性能なため、多数のカメラを設置したい大規模な店舗や商業施設などで主に利用されている反面、小規模な事業者には導入コストの観点から向いていない。また、将来的に性能が物足りなくなってきた時に入れ替えのコストなどがかかる可能性もある。
そこで最近では、インターネット上のクラウドサーバーにデータを送信し、AIによる分析はそちらで行うことで、店舗側の費用負担を抑えられるサービスが主流になりつつある。
「OPTiM AI Camera」のシステム構成例
「クラウドサーバー」(インターネット上に設置されたサーバー)は、インターネット上にあるサービス事業者の共有サーバーのこと。
専用サーバーに比べて、導入コストやメンテナンスのコストはほとんどかからず、設置場所の心配も必要ない。また、AI画像分析はクラウドサーバー側で行われるため、分析機能のアップデートなどを個別に行う必要がなく、いつでも最新の機能を利用できるところもポイントだ。
ただし、インターネットを介してデータを送信する関係上、データ容量を節約するために映像の解像度や画質などを落とさなければならず、高精細な映像を分析することには不向き。複雑ではない人物や物体の検知といった用途で主に活用されている。
こうしたAIカメラを店舗事業者やイベント運営者などが導入するメリット(強み)は冒頭でご紹介したが、逆に障壁や不安とされているのは点もあるだろう。
そこで、AIカメラ導入のメリットとデメリットをあらためて整理してみよう。
最も大きなメリットは、店頭での検温・消毒といった対応にかけるコストの削減だ。ただでさえ店舗に出向いてくれる利用者が減っている中で、専任のスタッフや受付対応をするスタッフを配置しなければならないコストは無視できない。
AIの理想的な活用方法のひとつが、人間が行ってきた業務を代替してくれること。これによって棚出しや整理、調理や接客といった、本来人にやってもらいたい仕事を、適切に割り当てられる。
ウィズコロナの生活の中で利用者に選んでもらえる店舗にするために必要なのは、安心してもらえる店舗になることだ。いくら店内で消毒していますと張り紙をしたところで、来店してくれない人には伝わらない。
その点、AIカメラサービスの中には、店舗のリアルタイムの混雑状況を知らせてくれるものもある。来店前に状況がわかれば、安心感とともに、きちんと対策してくれているという信頼感にもつながる。
また、今後再び規制された場合などに、補助金の対象として対策を施している店舗が優遇される可能性も少なくない。誰の目に見ても対策ができているということを宣言できるという強みも、AIカメラならではだ。
最後は、将来的な対策という意味でのメリットだ。
新型コロナウイルスが蔓延するまで、まさか自由に飲食やショッピングができなくなるような日が来るとは誰も想像できなかっただろう。そして、そんな未知の状況への対応策も手探りで行うしかなかった。
しかし、今回のコロナによってどのような対策を行えばいいかは少しずつわかってきた。そして、第2、第3のコロナのような感染症が起きないとも限らない。そんな少し未来の危機にも、AIカメラが導入されていればすぐに対応できるようになるだろう。
一方、事業者側にとって最も大きな課題は、導入コストだ。
利用者が安心してサービスを受けられるようにすることは、事業者としての責務とも言える一方で、自分の店舗単独で高額な負担を強いられるとなれば躊躇してしまうのは当然だ。
しかし、AIカメラの必要性が話題になった当初こそ高額なサービスもあったものの、最近は現実的に導入できる価格設定のサービスも増えている。
また、AIカメラを導入しない場合を考えると、人件費をかけて人を増やしたり、マスクの装着や三密回避を守ってくれない客に個別に対応せざるをえないという、心理的な負担も出てくる。機械的に対応できるAIカメラが有用と考えることもできるだろう。
「AI」と名のつくサービスは、導入するだけでなく、日々の運用のための知識も最低限必要になる。そのため、町の飲食店などでは導入に不安を感じている経営者も多いと聞く。
ただ、どのAIカメラサービスでも、誰もが簡単に使えるようなわかりやすいインターフェースを用意したり、必要のない機能はあえて省くことで、迷いなく導入できるように配慮されている。
そして、一度導入したら人間が考えることなく判別してくれるのがAIの強み。必要最低限の使い方さえわかれば、心配することはない。
ただし、導入にあたっては、AIカメラが実際にどれくらい役に立つかを自分の店舗などでシミュレーションしてみる必要はある。休日やお昼時のように混雑している時間帯などを想定して、そのサービスを導入した時にどれくらい恩恵が得られるかを考えてみよう。
不特定多数の人間が出入りする店内にカメラを設置する場合に問われるのが、撮影対象のプライバシーの問題だ。顔などの個人を特定できる情報を取得することに関しては、社会も非常にセンシティブになってきている。
この点はAIカメラサービス提供者側も認識しており、政府のガイドラインに沿った形で匿名情報に変換し、個人を特定できないかたちでデータを活用できる機能を持っている。活用方法によって、どれくらいの情報やデータが必要かを、サービスごとに調べてみるといいだろう。
以上、代表的なAIカメラのサービスと、メリット・デメリットなどをご消化してきた。メリットは当然として、デメリットとされてきたことも、導入しやすい初期コスト、使い勝手、利用者に不安を感じさせないプライバシーへの配慮などによって、当初は高額で実態がつかみにくいサービスだったAIカメラは、格段に導入しやすくなってきている。
AIカメラサービス導入の大事なポイントは、事業者がその機能を導入するイメージができているかどうかだ。
AIによる人物検知や混雑検知などの「技術」がどれだけ優れていても、いかに役立つかがイメージできなければ、検討することもできない。料理道具だけが提供されても、レシピがなければ料理が作れないのと同じことだ。
その意味では、今回紹介したサービスは、既存のカメラを利用した安価なサービス、イベント会場など場所を選ばずに利用できるサービス、そしてカメラ単体で完結するサービスと、現在の事業者の環境ごとに異なる位置づけとなっている。
ぜひ、自分にとって最適なAIカメラサービスを検討する一助としてほしい。
しかし、感染者数の増加と収束は、一定期間で繰り返され、そのたびに不安の声が上がるということを繰り返している。国民の意識は高まってはいるものの、普通に生活していて感染してしまった例も後を絶たない。
そんな中で再び注目されているのが「AIカメラ」だ。REPORTOCEANのレポートによれば、世界のAIカメラ市場は2020年には73億ドル(約8900億円)に到達し、2026年までに150億(1兆8000億円)に達すると予想されている。
AIによって店舗内の利用者の行動を解析することで、入り口での検温や消毒、店内での密の回避のためのスタッフの対応や配慮も軽減できる。利用者にとっても、AIカメラを導入していることで安心感や信頼感が向上するという。
今回は、そんなAIカメラに関する疑問と現状、代表的なサービスをご紹介しよう。
「AIカメラ」はコロナ鎮静化後にも必要?
前述のとおり、第6波は落ち着いてきたものの、飲食店などで集まることへの不安や、飲食店を利用しない人からの非難の目は残っており、店舗側としても明確に安全・安心をうたうことが難しい状況は変わりない。
そういった状況を打開するのが「AIカメラ」だ。
AIカメラの機能は多岐に渡るが、多くはカメラで撮影した画像内の人物や物体をAIによって検知するもの。たとえば、飲食店の店員が自分の目や耳からの情報だけで把握できる状況には限度がある。そこで、AIカメラを用いて人数や混雑状況を客観的に把握し、ときには人間の五感ではわからない情報(一定以上の体温の人など)も含めて検知することで、店員の負担の軽減が可能になる。
コロナが沈静化した今だからこそ、今後に向けて導入しておくことで、店舗側のノウハウも貯まり、意識しなくとも適切に対処されているお店、という信頼感も得られるという。
役立つAIカメラ 3選
それでは、用途やシーンごとの具体的なAIカメラのサービスを紹介しよう。
店内の混雑を回避し、三密を防ぎたい ~「OPTiM AI Camera」(オプティム)

「OPTiM AI Camera」は、店舗などの混雑状況をシンプルに可視化し、三密を回避するためのサービスだ。
カメラに映った人を輪郭のみ認識して個人情報に配慮した上で、店舗内の混雑状況を伝えてくれるというもの。ハードウェア自体はもともと監視用に備わっているネットワークカメラを利用可能なため、初期コストも抑えられる。
例えば、カフェやレストランに導入することで、店内の混雑状況を公式サイトや店舗入口のサイネージ(電子掲示板)などに手軽に表示すれば、客が密になりそうな時間帯を避けたり、混雑状況を勘案して、安心して食事などを楽しめる環境を提供できる。11月より新たに、店舗の公式サイトなどに埋め込める簡易ウェブページの生成機能も追加され(追加料金などはなし)、さらに利便性が高まった。
AI画像分析はすべてオプティムのクラウドサーバー上で行われるため、サーバー等の高額な設備投資が必要ないところもポイントだ。カメラは防犯用などで導入済みのものをそのまま利用可能。カメラとインターネット接続環境さえあれば、すぐにAIカメラを導入できる。
これ以外にも、不特定多数の人が集まるホテルのラウンジのような場所や、同じ目的で順番待ちをせざるをえないトイレ待ちの列、スポーツジムのように多くの人が集まりそうな場所への参加前の確認といった目的にも活用できそうだ。
なお、より詳細な客の性別、年齢などをタブレット端末などを用いて分析できる上位サービス「OPTiM AI Camera for Retail」や「OPTiM AI Camera Enterprise」なども用意されている。
OPTiM AI Camera
運営会社:株式会社オプティム
料金:月額 3278円(税込)
主な機能:混雑状況の可視化、混雑時間帯予測、プライバシー対応、アラート配信(サイネージなどのウェブサイト向け、メール)
サービスサイト:https://www.optim.cloud/services/ai-camera/
対応カメラ:※対応機種は順次更新中。詳細は公式サイトへ。 AXIS…M-3045V、M-1065-LW、P1375-E、P1435-LEなど、Canon…VB-S800D Mk IIなど、DODWELL…B・M・S PDC-B3303、PDC-VP3233IRなど、HIKVISION…DS-2DC2185FWD-ISなど、 Panasonic…BB-SC364、BB-ST165、WV-S4150、WV-S3110Jなど 、SONY…Sony SNC-XM631、Sony SNC-EM600など、TOA…N-C5120-3、N-C5220-3など、 Wisenet…XNP-6040Hなど
イベント会場ごとに感染症に対策したい ~「イベント向け感染症対策ソリューション」(凸版印刷)
徐々に解禁され始めた規模の大きなイベント会場は、緊急事態宣言が明けた後も慎重な対応が求められる現場だ。集まる人数も多く、不特定多数の人が行き来する環境だけに、主催者としては未然に防止するだけでなく、感染者・感染の疑いがある人を検出する機能も持ち合わせておきたいところ。
そんな用途に特化しているのが、凸版印刷の「イベント向け感染症対策ソリューション」。イベント向けと銘打っていることもあり、AIカメラを活用したマスク装着の状態や混雑検知に加え、専用カメラにより発熱検知にも対応している。


サービスとしては、イベント会場の入場口に備えられたカメラでマスク装着と発熱を検知するほか、広視野角のカメラでも体表面温度の検知を同時に行い、検知された来場者には引き止めるアラートを通知して対応する。
また、来場者に対してスマートフォンユーザーの多くが利用している「LINE」を活用し、会場で友達登録することで、万が一感染者が発生した際に即座にLINEメッセージで通知を行う。
イベントホールやスタジアムのように会場が固定されている会場はもちろんだが、事前予約やチケット販売が必要ない立ち寄り系のイベントでの感染拡大防止にも対応しやすく、来場者とスタッフの接触も極力減らすことが可能となる。事業者にとっても来場者にとっても、安心できるイベント運営に役立つだろう。
「イベント向け感染症対策ソリューション」
運営会社:凸版印刷
価格:初期費用 110万円~、運用費 3万3000円~/月 ※感染発生時の配信費用は別途見積
機能:AIカメラによるマスク装着・発熱検知・混雑検知サービス、感染発生情報のLINEを活用した配信サービス
対応カメラ:専用品
URL:https://www.toppan.co.jp/news/2020/07/newsrelease200717.html
最小限の設備投資でAIカメラを利用したい ~「TRIFORA」(TOA)
ネットワークカメラを利用しておらず、まったくゼロからAIカメラを導入したい人にオススメなのが、TOAが提供するネットワークカメラシステム「TRIFORA」シリーズだ。

カメラ本体に学習済みAIモデルを内蔵しており、サーバーなどを介さずにカメラ単体だけでAIカメラ機能を利用できる。
機能としては「人数カウント」によりレジの混雑状況に応じて応援を呼んだり、店内の滞在人数をカウントして密かどうかを判別することができる。また、「通過人数カウント」では、設定した検知ラインを通過した人数を入場/退場ごとにカウントしてくれる。
これらのデータは、抜き出して分析に利用したり、混雑状況などを別途ハードウェアなどと連携させて段階ごとに通知するといった機能もある。ちなみに、撮影した人物をシンボル化するなどのプライバシー保護機能も、別途オプションとして追加可能だ。
利用にあたって必要な知識も、ウェブで公開されている取扱説明書で使い方から機能まで参照できるので、事前に調べておけるのも親切だ。
「TRIFORA」
運営会社:TOA
料金:別途見積もり
主な機能:滞在人数カウント、通過人数カウント、ライブ映像配信(※プライバシー配信機能は有償オプション)
対応カメラ:TOA…N-C5120-3、N-C5150、N-C5150-3、N-C5220-3、N-C5250R3、N-C5420-3、N-C5442R3、N-C5450R3、N-C5820-3、N-C5850R3、N-V5020-1、N-V5050P1
サービスサイト:https://www.toa.co.jp/products/sensing/people-counter/
「AIカメラ」導入に必要なものとは?
AIカメラを導入するのに必要なものとしては、以下の2つが必須だ。
- ネットワーク対応カメラ
- AI画像分析用サーバー
これらは、以前は100万円単位の高額な専用製品が必要とされていたが、最近は安価なカメラや、サーバー(業務用の処理能力の高い専用パソコン)を店舗に設置する代わりに、クラウドサーバーを利用した低価格なサービスも普及している。
それぞれどんなものなのかを説明しよう。
1. ネットワーク対応カメラ
まずは、ネットワーク対応カメラだ。これは、カメラにパソコンなどで用いられる有線ポート(イーサネット)や、無線LAN(WiFi)接続などを備えているカメラのこと。いわゆるウェブカメラのようなものだが、ネットワークに対応させるためにやや高額になっていたり、用途や撮影範囲によって撮影範囲を細かく解析できるように、高解像度のカメラが必要な場合もある。
中には、カメラ自体にAI画像分析機能を持たせて、分析するためのサーバーを必要としない単体のAIカメラも販売されている。データの利用場所がカメラ本体のみのため、通信中にデータが流出することを防げるというセキュリティ面での強みもある。
また、安価なサービスの中にはスマホのカメラを利用するものなどもある。
2. AI画像分析用サーバー
カメラで撮影した映像を分析するためには、別途サーバー(AI画像分析専用のパソコン)が必要だ。一般的にはこのサーバーは店舗内などに設置して、24時間365日稼働させることになる。
専用サーバーは、データ転送にかかるロスが小さく高性能なため、多数のカメラを設置したい大規模な店舗や商業施設などで主に利用されている反面、小規模な事業者には導入コストの観点から向いていない。また、将来的に性能が物足りなくなってきた時に入れ替えのコストなどがかかる可能性もある。
そこで最近では、インターネット上のクラウドサーバーにデータを送信し、AIによる分析はそちらで行うことで、店舗側の費用負担を抑えられるサービスが主流になりつつある。

「クラウドサーバー」(インターネット上に設置されたサーバー)は、インターネット上にあるサービス事業者の共有サーバーのこと。
専用サーバーに比べて、導入コストやメンテナンスのコストはほとんどかからず、設置場所の心配も必要ない。また、AI画像分析はクラウドサーバー側で行われるため、分析機能のアップデートなどを個別に行う必要がなく、いつでも最新の機能を利用できるところもポイントだ。
ただし、インターネットを介してデータを送信する関係上、データ容量を節約するために映像の解像度や画質などを落とさなければならず、高精細な映像を分析することには不向き。複雑ではない人物や物体の検知といった用途で主に活用されている。
「AIカメラ」導入のメリット・デメリット
こうしたAIカメラを店舗事業者やイベント運営者などが導入するメリット(強み)は冒頭でご紹介したが、逆に障壁や不安とされているのは点もあるだろう。
そこで、AIカメラ導入のメリットとデメリットをあらためて整理してみよう。
AIカメラのメリット(1)人件費の削減・コスト削減
最も大きなメリットは、店頭での検温・消毒といった対応にかけるコストの削減だ。ただでさえ店舗に出向いてくれる利用者が減っている中で、専任のスタッフや受付対応をするスタッフを配置しなければならないコストは無視できない。
AIの理想的な活用方法のひとつが、人間が行ってきた業務を代替してくれること。これによって棚出しや整理、調理や接客といった、本来人にやってもらいたい仕事を、適切に割り当てられる。
AIカメラのメリット(2)利用者への安心感・信頼感
ウィズコロナの生活の中で利用者に選んでもらえる店舗にするために必要なのは、安心してもらえる店舗になることだ。いくら店内で消毒していますと張り紙をしたところで、来店してくれない人には伝わらない。
その点、AIカメラサービスの中には、店舗のリアルタイムの混雑状況を知らせてくれるものもある。来店前に状況がわかれば、安心感とともに、きちんと対策してくれているという信頼感にもつながる。
また、今後再び規制された場合などに、補助金の対象として対策を施している店舗が優遇される可能性も少なくない。誰の目に見ても対策ができているということを宣言できるという強みも、AIカメラならではだ。
AIカメラのメリット(3)第2、第3の感染症への対策
最後は、将来的な対策という意味でのメリットだ。
新型コロナウイルスが蔓延するまで、まさか自由に飲食やショッピングができなくなるような日が来るとは誰も想像できなかっただろう。そして、そんな未知の状況への対応策も手探りで行うしかなかった。
しかし、今回のコロナによってどのような対策を行えばいいかは少しずつわかってきた。そして、第2、第3のコロナのような感染症が起きないとも限らない。そんな少し未来の危機にも、AIカメラが導入されていればすぐに対応できるようになるだろう。
AIカメラのデメリット(1) 導入コスト・維持コストが高い
一方、事業者側にとって最も大きな課題は、導入コストだ。
利用者が安心してサービスを受けられるようにすることは、事業者としての責務とも言える一方で、自分の店舗単独で高額な負担を強いられるとなれば躊躇してしまうのは当然だ。
しかし、AIカメラの必要性が話題になった当初こそ高額なサービスもあったものの、最近は現実的に導入できる価格設定のサービスも増えている。
また、AIカメラを導入しない場合を考えると、人件費をかけて人を増やしたり、マスクの装着や三密回避を守ってくれない客に個別に対応せざるをえないという、心理的な負担も出てくる。機械的に対応できるAIカメラが有用と考えることもできるだろう。
AIカメラのデメリット(2) AIの知識がなく活用が難しい
「AI」と名のつくサービスは、導入するだけでなく、日々の運用のための知識も最低限必要になる。そのため、町の飲食店などでは導入に不安を感じている経営者も多いと聞く。
ただ、どのAIカメラサービスでも、誰もが簡単に使えるようなわかりやすいインターフェースを用意したり、必要のない機能はあえて省くことで、迷いなく導入できるように配慮されている。
そして、一度導入したら人間が考えることなく判別してくれるのがAIの強み。必要最低限の使い方さえわかれば、心配することはない。
ただし、導入にあたっては、AIカメラが実際にどれくらい役に立つかを自分の店舗などでシミュレーションしてみる必要はある。休日やお昼時のように混雑している時間帯などを想定して、そのサービスを導入した時にどれくらい恩恵が得られるかを考えてみよう。
AIカメラのデメリット(3) 撮影した利用者のプライバシー問題
不特定多数の人間が出入りする店内にカメラを設置する場合に問われるのが、撮影対象のプライバシーの問題だ。顔などの個人を特定できる情報を取得することに関しては、社会も非常にセンシティブになってきている。
この点はAIカメラサービス提供者側も認識しており、政府のガイドラインに沿った形で匿名情報に変換し、個人を特定できないかたちでデータを活用できる機能を持っている。活用方法によって、どれくらいの情報やデータが必要かを、サービスごとに調べてみるといいだろう。
規模や用途に応じた「AIカメラ」サービスを選ぼう
以上、代表的なAIカメラのサービスと、メリット・デメリットなどをご消化してきた。メリットは当然として、デメリットとされてきたことも、導入しやすい初期コスト、使い勝手、利用者に不安を感じさせないプライバシーへの配慮などによって、当初は高額で実態がつかみにくいサービスだったAIカメラは、格段に導入しやすくなってきている。
AIカメラサービス導入の大事なポイントは、事業者がその機能を導入するイメージができているかどうかだ。
AIによる人物検知や混雑検知などの「技術」がどれだけ優れていても、いかに役立つかがイメージできなければ、検討することもできない。料理道具だけが提供されても、レシピがなければ料理が作れないのと同じことだ。
その意味では、今回紹介したサービスは、既存のカメラを利用した安価なサービス、イベント会場など場所を選ばずに利用できるサービス、そしてカメラ単体で完結するサービスと、現在の事業者の環境ごとに異なる位置づけとなっている。
ぜひ、自分にとって最適なAIカメラサービスを検討する一助としてほしい。
必要事項をご記入の上、
「資料を請求する」を押してください。
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<特集>AIカメラでできることは?これでわかる基礎知識
- 「AIカメラ」導入のメリット・デメリットとは? 用途別AIカメラサービス 3選
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