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<特集>初心者向け AIの活用How To

「AI導入状況調査」から見えた導入課題「AI活用人材の不足」と「企業間格差」

AI Start Lab 編集部 2022.5.30
CONTENTS
  1. AI導入企業の3分の2が新型コロナ前後の「3年以内」に導入
  2. AI導入により4割以上が作業時間削減を実感
  3. AI導入後の課題はAIを活用できる「人材不足」
  4. 中小企業と大企業で「AI格差」が進行中
  5. いま必要なのは「AIを作る人材」よりも「AIを使いこなす人材」
一次産業からサービス業まで、あらゆる業界でAI(人工知能)の普及が進んでいる。しかし、実際に自分たちの業務改善のためにAIが導入されているケースは、決して多くはない。

ひとくちにAIと言っても、製造業画像認識による製品検査、小売店のAIカメラによるセキュリティ、サービス業の販売促進活動など、用途も目的もさまざま。そもそもAIにどんなことができて、どのように導入できるのか、予算はどれくらいかといったこともわからない人もまだまだ多いはずだ。

そこで今回は、ソニービズネットワークス株式会社が全国の会社員や経営者・役員1000 名(AI導入済み企業500社、AI未導入企業500社)を対象に実施した「AI導入状況調査」の結果から、日本がいま直面しているAI導入の課題を考えてみたい。読者自身の業務にどのようにAIが役立つかをイメージするきっかけにしていただければ幸いだ。

なお、同社は機械学習やプログラミングなどの専門知識がなくても、数クリックの簡単な操作でノーコードでAI予測分析ができるツール「Prediction One」をリリースしている企業。マーケティングや営業、生産管理、顧客サポート、製品開発などに用いられており、専門家のサポートが受けられる「スタートアッププログラム」もある。




設問は8つで、内容に応じて導入済み・未導入の企業500社から回答を得ている。

調査概要調査名:AI導入状況調査
調査方法:インターネット調査
調査対象者:会社員として働く20代以上の男女
調査期間:2022/03/18~2022/03/21
調査機関:ソニービズネットワークス株式会社
サンプル数:1000(内AI導入済み:500/AI未導入:500)。
アンケートデータはすべて、ソニービズネットワークス株式会社調べ

AI導入企業の3分の2が新型コロナ前後の「3年以内」に導入


最初の設問は、「AI導入のタイミング」だ。AI導入済みの企業で働く20代以上の会社員に聞いたところ、3人に1人が過去3年以内にAIを初めて導入しているという。2019年というと、新型コロナウイルス感染拡大開始と重なることから、テレワークの普及に伴い、AI導入も加速したと考えられる。

「AIの用途」については1位「需要予測、販売予測」(38.8%)、2位「顧客分析、営業活動効率化」(36.6%)、3位「在庫最適化」(33.2%)となった。

これらは本アンケートの回答者の属性を示すものであり、主に効率的な需給管理にAIを使用している人たちが多いようだ。

Q1:あなたの会社で最初にAIが導入されたのはいつですか。(n=500)


Q2:あなたの会社でAIはどのような業務に導入されていますか。(n=500)


AI導入により4割以上が作業時間削減を実感


次に、「AIの導入が業務に与える影響」については、4割以上が「作業時間削減できた」、3割以上が「生産性が向上した」と回答。業務の効率化について一定の成果を感じていることが判明した。

ただし、「1週間で削減できた作業時間」については、「20時間未満」が8割以上。企業全体で考えた時には、この数字は決して大きくはない。AI導入による大幅な作業時間の削減については、今後の挑戦のようだ。

Q3:AI導入はあなたご自身の業務においてはどのような影響がありましたか。(n=500)


Q4.作業時間が削減できたと回答した方にお聞きします。どの程度作業時間が削減できたと感じますか。1週間あたりの削減できた時間を回答してください。(n=201)


AI導入後の課題はAIを活用できる「人材不足」


続いて、「AI導入後の運用面の課題」をたずねたところ、半数近くが「AIを最大限活用できていないこと」、約3分の1が「運用できる人材がいないこと」と回答。導入してはいるものの、どのように業務で活用するかが課題となっている様子だ。

さらに、「導入していない企業が足踏みしている理由」では、1位に「AIの導入をリードできる人材がいないこと」(31.4%)が挙げられており、導入前後の人材不足が大きな課題となっている。

しかし、最近のAIサービスの潮流は、新たにいちからオリジナルのAIを学習するのではなく、ある程度の精度が出ているAIモデルを導入し、自分たちの目的に合わせてカスタマイズするという方法だ。これなら、導入から運用までの時間を短縮できる。

その上で、あらゆる業界にAI導入が広がっていくと想定される中で、専門人材がいなくてもAIを導入できる手段や効率的に運用できる手段が必要であると言える。

Q5:AIを導入して、運用面で感じる課題はありますか。(n=500)


Q6.あなたの会社でAIが導入されていない要因として当てはまるものは何ですか。(n=500)


中小企業と大企業で「AI格差」が進行中


最後は企業の規模による格差について。AI未導入の企業に「AI導入の検討状況」について質問したところ、「現段階で検討していない」と答えたのは、大企業が3割に満たなかったのに対し、中小企業では7割超だった。

また、AI導入済みの企業について、「AI導入にかけている年間予算」をたずねたところ、中小企業は6割以上の企業が「300万円まで」、大企業では半数以上が「300万円以上」と明暗が分かれた。会社規模によるAI格差が進行していることが推察されます。

Q7:あなたの会社では、AI導入を検討していますか。(n=500)



Q8:あなたの会社でAI導入にかけている年間予算はどれくらいですか。(n=500)

ソニービズネットワークス株式会社のAI担当は今回の調査結果について、「以前は研究用途でAIの導入を検討することが多い状況でしたが、ここ数年は様々な業界、職種でDX推進部署や現場部署で本格的に検討している企業が増えている実感があります。一方で、今回の調査でも明らかになった通り、AI活用における技術的な障壁や費用対効果を示し辛いことで、特に中小規模の企業では導入に一定の懸念があると推察できます。人材不足が社会問題に発展している昨今ではむしろ中小企業でのAI活用が促進されるべきと考えており、AIリテラシーがなくても簡単に安価に利用できるツールが求められているようです」とコメントしている。

いま必要なのは「AIを作る人材」よりも「AIを使いこなす人材」


今回の調査結果から、大きく2つのことが見えてきた。

ひとつは、AI人材が決定的に不足しているということ。ここでいうAI人材は、AI自体を開発したりプログラミングしたりする人材ではなく、既存の業務にどのようにAIを絡めて活用できるかをイメージできる人材のことだ。

AIサービスを提供するメーカー側も、自社のAIがどんな場面で活用できるかを紹介してはいるものの、導入事例とまったく同じ用途以外は、ユーザーとなる企業のAI担当者自身が活用できるかどうかの判断がつけられない。そのため、具体的に導入され、成果を上げている導入事例のあるサービス以外は発展していかないというのが、日本のAIビジネスの実情だ。

もうひとつは、新型コロナ、円安、ウクライナ侵攻といった危機的状況下で、それでもAIにかけられる予算がまだまだ少ないということだ。このような時こそ、ベンチャー気質の中小企業が新たなAIサービスを開発したり、導入することで効率化とコストダウンを実現することが求められるが、AIはまだこのような状況を打破する決定的な手段とはなり得ていない。裏を返せば、まだまだ人間が行う(時には無駄にさえ思える)業務や人材も、必要とされているということだ。

総務省が発行した「令和3年版情報通信白書」によれば、日本はAIサービス等を扱うICT企業の従業員(AIエンジニアやAIプログラマーなど)としての人材は多いものの、それを活用するユーザー企業側のICT人材(AIコンサルタントなど)が圧倒的に不足しているという。



今回の調査結果からもわかるように、これからAIの普及に向けて求められるのは、AIを理解し、すでに存在するサービスをいかに自分たちの業務に取り入れて、効率化や価値の工場を目指すか、という視点だ。

漠然とした「AI」というテクノロジーを、より現実的なものとして活用できるかどうかは、これから「AIを使いこなせる人材」がいかに育つか、にかかっていると言えるかもしれない。


画像:Shutterstock、ソニービズネットワークス株式会社

Prediction One
https://predictionone.sony.biz/
令和3年版情報通信白書|総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/summary/summary01.pdf

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WRITTEN by

AI Start Lab 編集部

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