政策・法律

感染症対策でカメラ画像を活用する際の注意点は?総務省・経産省などが出した配慮事項

AI Start Lab 編集部 2021.4.23
いま、新型コロナウイルス感染症対策として商業施設や店舗、イベント会場などでカメラ画像を活用する例が増えている。施設や会場の入り口など設置されたカメラで、来場者の体温測定やマスク着用率を計測するもの、混雑状況把握などを目的とするものだ。

こうした状況を受けて、総務省と経済産業省は、公共目的でのカメラ画像利活用を行う場合に事業者に求められる配慮事項を、FAQ形式でまとめた「民間事業者によるカメラ画像を利活用した公共目的の取組における配慮事項~感染症対策のユースケースの検討について~」を公表した。

総務省と経済産業省は、2018年に商用目的でのカメラ画像利活用における配慮事項をまとめた「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」を出しており、事業者が個人のプライバシーや個人情報保護法を守りつつ、画像の活用を行う際に必要な配慮をまとめていた。

しかし、感染症対策での画像の利用は、商用利用とは異なる点もあるとして今回の文書が公開された。その内容を解説する。

カメラ画像利活用での基本は、生活者への配慮


Shutterstock

カメラ画像を利活用する際には、利用者など撮影される側とのコミュニケーション方法を検討するなど、相互理解を構築することが必要としている。また、肖像権やプライバシーの侵害とならないよう注意が必要だ。

この点を踏まえながら、ポイントとなる点を見ていきたい。

すぐに破棄する場合でも、個人を識別できる画像は個人情報の取得となる


特定の個人を識別できる顔画像と、そこから抽出した顔特徴量の取得は、直ちに顔画像を削除する場合でも、「個人情報」を取得していると考えられる。個人を特定できる画像を取得し、すぐに破棄して統計情報化する場合もこれにあたる。

たとえば、顔認証技術を利用してのマスクの着用の有無の判定や、体温測定を行う場合にも、個人情報を取得していると考えられるので、配慮が必要だ。

いっぽう、可視光カメラを使わず、サーモグラフィー(熱画像)式のサーマルセンサーを利用して体温測定をする場合はこれに当たらない。また、検温結果も医療業務のために取得したものではないため、要配慮個人情報に該当しないと考えられるという。

さらに、個人を特定しない形で取得した顔画像を処理しての、マスクの着用有無の判定や、全身のシルエット画像などによる移動軌跡 (人流)データのみの場合であれば、本人を判別可能な画像や個人識別符号などと容易に照合できる場合を除き、個人情報には該当しない。

そのため、個人を特定できる形の顔画像取得ではない方法がある場合は、そちらの採用を検討すべきだ。

画像の保有期間は最小限に、もちろん漏洩にも注意


撮影データの保有期間については、最小限の期間とする必要がある。混雑状況やマスク着用率といった統計情報に加工することのみがカメラ画像利用の目的であれば、速やかに加工した上で、画像データを即時廃棄することが一般に求められる。

データの自動的な即時廃棄が技術的に困難な場合、撮影データを取り扱う従業員を限定する、取得したデータにはアクセスしないといったルールを設定する、システムへの技術的なアクセス制御や漏えい防止策を講じるなどの適切な安全管理措置を講じた上で、できる限り速やかに削除するなど、適切に運用することが求められる。

撮影データについて、漏洩や滅失などが起きないようにデータを取り扱う従業員の限定や、適切な研修の実施、責任者の任命や規程の整備も必要になる。

カメラ画像の管理を委託する場合にも、同様の配慮事項を委託先に求めることが必要だ。

個人情報の取得にあたる際、気をつけるポイントは?


yoshi0511 / Shutterstock.com

個人情報の取得にあたる場合は、個人情報保護法上、利用目的を可能な限り特定し、あらかじめ公表する必要がある。

利用者への告知についてはどのようにすればいいのだろうか。

十分な期間をもって事前の告知を行うことが基本


カメラ画像の利活用を行う場合、撮影の対象となる可能性がある人すべてに対して、十分な期間をもって事前告知を行うことが望ましいという。

一時的にイベント会場でカメラを設置する場合にも、イベントのチケット販売時(ウェブサイトでの事前販売など)にカメラ画像の取得について告知するなど、丁寧な告知を行うことが求められる。

商業施設などにおいても、事前に文章などによってカメラ位置やデータ取得期間、データの利用方法などをはっきり明示する必要がある。また、問い合わせが可能なように管理者(運用主体)と連絡先を公表することが必要だ。運用の委託先があれば、あわせて公開すべきだとされている。

カメラ画像を取得する現場でも認識できることが必要


不正の手段による個人情報の取得とならないよう、現場ではカメラが作動中であることを掲示するなど、カメラによって個人情報が取得されていることを利用者が容易に認識することが可能となる措置を講ずる必要がある。

施設の出入り口など、退避不可能な場所でカメラ画像を取得する場合については、もちろんあらかじめ利用目的を公表することが 望ましく、現場ではデータの取得を望まない利用者が、それを回避できる手段・方法を担保する、もしくは必要最低限の情報の取得に留めるといった配慮を行うことが重要となる。

顔画像は個人情報であることを認識しての活用が必要


感染症対策でカメラ画像を活用する際の注意点として、「民間事業者によるカメラ画像を利活用した公共目的の取組における配慮事項~感染症対策のユースケースの検討について~」から、紹介してきた。

商業施設やイベント会場などの準公共空間で、監視カメラやモバイルデバイスのカメラなど、一般的なカメラで取得した画像は、すぐ破棄するものであっても、個人情報にあたると考えて利用することが重要となってくるだろう。

また、感染症対策以外の、マーケティング利用や防犯にための利用では、いっそうの配慮が求められる。

その点は「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」に詳しくまとめられているので、AIカメラなどの導入に際しては、その内容をしっかりと把握しておきたい。


民間事業者によるカメラ画像を利活用した公共目的の取組における配慮事項~感染症対策のユースケースの検討について~ [PDF]
カメラ画像利活用ガイドブックver2.0 [pdf]

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