
AI・人工知能が身近になってきている。
そんな中、政府により「AI戦略2019」が発表され、日本全体でAIを効果的に利用・活用するための方向性が示された。今後は官民一体となり、AIによる社会変化に対応していくことになるだろう。
本記事では、戦略が出された背景やポイントとなる項目について紹介する。
スマートフォンやパソコン、タブレットで普段利用しているソフトやアプリの中には、AI技術を活用したものがあるはずだ。
では、それらAI技術の先進国というとどんな国を思い浮かべるだろう。
最近では、アメリカと中国が熾烈なシェア争いを繰り広げている。日本は、AI技術の面では後れを取っているのが現状だ。
とはいえ、日本でもAI技術をないがしろにしているわけではない。このAI戦略が出されるまでに、数々の議論がなされてきた。
例えば、第5期科学技術基本計画で「Society 5.0」という考え方を実現するための目標が定められた。「Society 5.0」は、5番目の社会という意味だ。
人間社会は、これまで狩猟や農耕、工業を経て、情報を活用するようになった情報社会へと成長してきた。ここまでを4番目の社会とし、さらに進化をしていくのが「Society 5.0」である。
「Society 5.0」では、データの分析や判断をAIに任せていく。そこから生み出されたデータを活用していくことを目指しているのだ。
これまでのように、人間がデータをインターネットから集めて判断する社会よりも、一歩進んでいることがわかるだろう。
このような社会にしていくためには、AI技術を発達させていくことが欠かせない。
その上、これからの日本は、インフラの老朽化や少子高齢化の加速による人口減少など、課題が多くある。国内の課題を解決していくためにも、AIなどのテクノロジーを活用することが必要なのだ。
また、世界規模でも課題が多くある。2015年にはSDGsが定められており、持続可能な社会を目指していくためにAIを活用する必要もあるだろう。
以上のような背景から、AI技術を活用して諸課題を克服するために「AI戦略2019」が取りまとめられたのである。

では、AI戦略とはどのようなものなのだろうか。それを知るために、ベースとなる考え方を紹介していく。
AI戦略では、2019年3月に決定した「人間中心のAI社会原則」の基本理念をベースにして作成された。
この原則では、AIを活用する際の価値観を3つに分けて定めている。
具体的には、以下の3つのことを指している。
1つ目は、AIを活用しつつも人間が主体的に生活できるような社会を目指していくために定められた。
AIの便利さは魅力的であるが、同時に依存しすぎてしまうと危険である。人間がAIにコントロールされてしまわないよう、人間としての尊厳を大切にしようという価値観が原則となっている。
2つ目は、価値観が多様化しつつある社会の中で、それぞれが幸せになれる社会を作りあげていくことである。
大切なのは、どの価値観も尊重された上で、新たな価値を築いていくことだ。このような理想のためには、AIを活用することが有効だと考えられる。
3つ目は、SDGsとも関係が深い。現在国内外で課題となっていることに対してAIを活用する。
それによって格差を減らし、より持続的可能性のある社会を作りあげていくことが必要なのだ。
このような人間中心の社会原則を根底にもちつつ、戦略が作成されている。
さきほどの理念をもとに、AI戦略では具体的な目標が4点定められている。
「AI戦略 2019」の概要と取組状況(内閣府資料より)
1つ目が「AIに対応する人材の確保」に関することだ。AIを活用していくためには、それを開発する人材が欠かせない。
AI時代に対応できるよう育成を行っていくとともに、国外からも人材を受け入れていくことを目標としている。
2つ目が「産業競争力」に関することだ。AIを利活用することで、日本の作業は付加価値や労働生産性を高めていくことが必要だ。
具体的には、産業構造を大きく変えていくことが求められる。そのためにも、AIに関連する開発を積極的に行うことになる。
3つ目は、「多様な人々が社会参加のできる技術体系」に関することである。現在の日本には、少子高齢化によって高齢者が増え、海外から日本に来て働く人がいるなど、様々な背景をもつ人がいる。
また、女性の社会参加も日本の課題であろう。このような多様な人々が利益を受けられるような技術体系を作っていくことが目標となる。
4つ目は、「国際的なAI研究」に関することである。グローバル社会となり、世界との境界線がなくなりつつある現在、AIについても世界とともに考えていく必要があるだろう。
そのために、人材の育成や確保、共同研究を含めて世界各国と協力していくことを目標としている。

本記事では、「AI戦略2019」の背景やポイントについて紹介した。
この記事の内容だけを見ても、今までとは違う方向へ向かっていることがわかるのではないだろうか。
これからを生きるあなたも、人材育成や産業構造の変化など、これまで経験したことのない変化の中を生活していくことになるだろう。
「AI戦略2019」には、4つの目標をもとに細分化した目標や取り組みが記載されている。
細分化された目標は、
の2点が挙げられている。
1点目の「教育改革と研究体制の再構築」について紹介する。まずは教育改革の側面だ。
教育改革の中では、学校教育で「理数・データサイエンス・AI」に関係するリテラシーを学ぶ機会を作る目標がたてられている。
さらに、社会人も同様の内容を学び直せる機会を設けることになっている。これにより、小学生から大学生はもちろん、社会人もAIについてを学んでいくことになるだろう。
続いて研究体制の再構築を紹介する。
現在の日本は、AIの研究で他国に遅れを取っていることから、研究開発サイクルを構築したり、先端的なAI技術の開発に取り組む目標がたてられている。
2点目の「産業・社会の基盤づくり」に関しては、5つの領域を優先領域として取り組みを進めていくことになる。
5つの領域は、
である。
どの領域も、日本社会が抱える課題であり緊急性の高いものだ。これらの課題を解決するためにAIを活用することを目指している。
これら細分化された目標をもとに、いつまでに何をするのか取り組みの目安が定められている。取り組みを計画通り進めていくと、AIの活用が当たり前になる社会が来るだろう。
ちなみに、詳細な目標や取り組みについては、「AI戦略2019」に掲載されている。
詳細が知りたい方は、ぜひ戦略をダウンロードして読んでみて欲しい。
「AI戦略 2019」の概要と取組状況|内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg7/20191101/shiryou1.pdf
画像出典元:Shutterstock
そんな中、政府により「AI戦略2019」が発表され、日本全体でAIを効果的に利用・活用するための方向性が示された。今後は官民一体となり、AIによる社会変化に対応していくことになるだろう。
本記事では、戦略が出された背景やポイントとなる項目について紹介する。
「AI戦略2019」が立てられた背景
スマートフォンやパソコン、タブレットで普段利用しているソフトやアプリの中には、AI技術を活用したものがあるはずだ。
では、それらAI技術の先進国というとどんな国を思い浮かべるだろう。
最近では、アメリカと中国が熾烈なシェア争いを繰り広げている。日本は、AI技術の面では後れを取っているのが現状だ。
とはいえ、日本でもAI技術をないがしろにしているわけではない。このAI戦略が出されるまでに、数々の議論がなされてきた。
例えば、第5期科学技術基本計画で「Society 5.0」という考え方を実現するための目標が定められた。「Society 5.0」は、5番目の社会という意味だ。
人間社会は、これまで狩猟や農耕、工業を経て、情報を活用するようになった情報社会へと成長してきた。ここまでを4番目の社会とし、さらに進化をしていくのが「Society 5.0」である。
「Society 5.0」では、データの分析や判断をAIに任せていく。そこから生み出されたデータを活用していくことを目指しているのだ。
これまでのように、人間がデータをインターネットから集めて判断する社会よりも、一歩進んでいることがわかるだろう。
このような社会にしていくためには、AI技術を発達させていくことが欠かせない。
その上、これからの日本は、インフラの老朽化や少子高齢化の加速による人口減少など、課題が多くある。国内の課題を解決していくためにも、AIなどのテクノロジーを活用することが必要なのだ。
また、世界規模でも課題が多くある。2015年にはSDGsが定められており、持続可能な社会を目指していくためにAIを活用する必要もあるだろう。
以上のような背景から、AI技術を活用して諸課題を克服するために「AI戦略2019」が取りまとめられたのである。
戦略の中心的理念となる「人間中心のAI社会原則」とは

では、AI戦略とはどのようなものなのだろうか。それを知るために、ベースとなる考え方を紹介していく。
AI戦略では、2019年3月に決定した「人間中心のAI社会原則」の基本理念をベースにして作成された。
この原則では、AIを活用する際の価値観を3つに分けて定めている。
具体的には、以下の3つのことを指している。
- 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)
- 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity&Inclusion)
- 持続性ある社会(Sustainability)
1つ目は、AIを活用しつつも人間が主体的に生活できるような社会を目指していくために定められた。
AIの便利さは魅力的であるが、同時に依存しすぎてしまうと危険である。人間がAIにコントロールされてしまわないよう、人間としての尊厳を大切にしようという価値観が原則となっている。
2つ目は、価値観が多様化しつつある社会の中で、それぞれが幸せになれる社会を作りあげていくことである。
大切なのは、どの価値観も尊重された上で、新たな価値を築いていくことだ。このような理想のためには、AIを活用することが有効だと考えられる。
3つ目は、SDGsとも関係が深い。現在国内外で課題となっていることに対してAIを活用する。
それによって格差を減らし、より持続的可能性のある社会を作りあげていくことが必要なのだ。
このような人間中心の社会原則を根底にもちつつ、戦略が作成されている。
「AI戦略2019」における戦略目標は、大きく4つ
さきほどの理念をもとに、AI戦略では具体的な目標が4点定められている。

1つ目が「AIに対応する人材の確保」に関することだ。AIを活用していくためには、それを開発する人材が欠かせない。
AI時代に対応できるよう育成を行っていくとともに、国外からも人材を受け入れていくことを目標としている。
2つ目が「産業競争力」に関することだ。AIを利活用することで、日本の作業は付加価値や労働生産性を高めていくことが必要だ。
具体的には、産業構造を大きく変えていくことが求められる。そのためにも、AIに関連する開発を積極的に行うことになる。
3つ目は、「多様な人々が社会参加のできる技術体系」に関することである。現在の日本には、少子高齢化によって高齢者が増え、海外から日本に来て働く人がいるなど、様々な背景をもつ人がいる。
また、女性の社会参加も日本の課題であろう。このような多様な人々が利益を受けられるような技術体系を作っていくことが目標となる。
4つ目は、「国際的なAI研究」に関することである。グローバル社会となり、世界との境界線がなくなりつつある現在、AIについても世界とともに考えていく必要があるだろう。
そのために、人材の育成や確保、共同研究を含めて世界各国と協力していくことを目標としている。
AI戦略を主軸に、日本は大きな変化を求められている

本記事では、「AI戦略2019」の背景やポイントについて紹介した。
この記事の内容だけを見ても、今までとは違う方向へ向かっていることがわかるのではないだろうか。
これからを生きるあなたも、人材育成や産業構造の変化など、これまで経験したことのない変化の中を生活していくことになるだろう。
「AI戦略2019」には、4つの目標をもとに細分化した目標や取り組みが記載されている。
細分化された目標は、
- 教育改革と研究体制の再構築
- 産業・社会の基盤づくり
の2点が挙げられている。
1点目の「教育改革と研究体制の再構築」について紹介する。まずは教育改革の側面だ。
教育改革の中では、学校教育で「理数・データサイエンス・AI」に関係するリテラシーを学ぶ機会を作る目標がたてられている。
さらに、社会人も同様の内容を学び直せる機会を設けることになっている。これにより、小学生から大学生はもちろん、社会人もAIについてを学んでいくことになるだろう。
続いて研究体制の再構築を紹介する。
現在の日本は、AIの研究で他国に遅れを取っていることから、研究開発サイクルを構築したり、先端的なAI技術の開発に取り組む目標がたてられている。
2点目の「産業・社会の基盤づくり」に関しては、5つの領域を優先領域として取り組みを進めていくことになる。
5つの領域は、
- 健康・医療・介護
- 農業
- 国土強靱化
- 交通インフラ・物流
- 地方創生
である。
どの領域も、日本社会が抱える課題であり緊急性の高いものだ。これらの課題を解決するためにAIを活用することを目指している。
これら細分化された目標をもとに、いつまでに何をするのか取り組みの目安が定められている。取り組みを計画通り進めていくと、AIの活用が当たり前になる社会が来るだろう。
ちなみに、詳細な目標や取り組みについては、「AI戦略2019」に掲載されている。
詳細が知りたい方は、ぜひ戦略をダウンロードして読んでみて欲しい。
「AI戦略 2019」の概要と取組状況|内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg7/20191101/shiryou1.pdf
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