政策・法律

内閣官房、感染防止と経済活動を両立させるためのAIを活用したシミュレーションを募集

AI Start Lab 編集部 2020.10.8

AIを活用した開発テーマを国が募集


内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策推進室では、新型コロナウイルス感染症に対して、対策を進化させ、感染防止と経済活動を両立させるために、AI等技術を活用したシミュレーションに有効な「開発テーマ」と「データ」の提案を広く募集している。

新型コロナウイルス感染症については、これまでの数ヶ月間の世界での戦いを通じて、様々な経験とデータが蓄積されつつあり、今後、感染防止と経済活動を両立させるためには、このような経験とデータを基にしたAI等技術を活用したシミュレーションの開発および実施を通じて、いわゆる第2波に向けた施策のあり方の検討、分野別ガイドラインの進化、医療リソースの最適化等を行うことが不可欠と考えられている。

そのための、どんな「開発テーマ」が想定しうるのかのアイデアを募っており、AI等技術を活用したシミュレーションの方向性として、専門家へのヒアリングから、次の5つのリサーチクエッション(研究領域)が設定された。

  1. 「分野別ガイドラインの進化」のために必要な「室内気流シミュレーション」、「飛沫の見える化」
  2. 「接触機会低減」のための「ICT、IoTの活用」(ウェアラブル機器を用いて接触回避などを行う)
  3. 「検査効率化・信頼性向上」に必要な「PCR、抗体検査等の効果的組合せ」
  4. 「第二波対策」として必要な「感染予測・対策の効果検証」(SIRモデルの代替となるモデルの確立)、「必要な医療リソース(病床・医療物資等)の需要予測と最適配置」
  5. 「早期検知と重症化回避」のための「CTスキャン画像分析」、軽症者等のモニタリング、重症化リスク予測、ウイルス変異の影響の理解

ここでは、新型コロナウイルス感染症対策推進室のサイトで公開されている、集まった開発テーマのなかから、経済活動にかかわる注目のテーマを紹介しよう。
今後のAIを活用した研究の動向の一端がここから見えてくるだろう。

注目の開発テーマは?


3種データサイエンス技術を併用した COVID-19 感染者数を最小化するICTデバイス機能の創発


日本大学生産工学部 人工知能リサーチグループによる提案。
COVID-19 感染拡大を抑止するために、接触確認アプリ COCOA など、ICTデバイスの活用が論じられている。COCOAなどは感染者数を削減する効果を持つが、感染者数を最小化する訳ではない。ICTデバイスはその機能の実装や利用方法が無数に存在し得ることから、人の勘や経験で感染者数を最小化する機能を発見することは困難。そのため本研究では、3種データサイエンス技術を活用し、感染者数を最小化するICTデバイスの機能を自動発見するアルゴリズムを開発する。
https://arxiv.org/abs/2008.13166

商業施設の混雑を回避する個別最適化されたスケジュールの策定


東北大学量子アニーリング研究開発センター(T-QARD)/株式会社シグマアイによる提案。
「新しい行動様式」実現の一環であるソーシャルディスタンスを保つため、生活に必要な買い物を行う商業施設の混雑を防がなければならない。各個人の年齢・行動目的により、滞在時間、行動開始時間など、様々な行動に差異がある特徴を考慮し、各個人が空いている時間帯の行動選択を支援する技術を用いて、人の混雑を避けて感染リスクを下げつつ、各個人の目的に応じて、異なる最適化結果を受け取り、適した時間に用事を済ませることができるように導く。空間の最適化に続き「時間の最適化」を実用的なアプリとして開発している。

コミュニケーション機会を維持したオフィス・リモートワークスケジュールの策定


同じく、東北大学量子アニーリング研究開発センター(T-QARD)/株式会社シグマアイによる提案。
在宅勤務、オフィス勤務、ミーティングの機会、あらゆる要望に応えたメンバー配置など「ウィズコロナの時代の働き方」を模索する環境下で、安全と安心を考慮に入れた難しいバランスを反映したハイブリッドなチーム編成が求められる。チームの中でのコミュニケーションの頻度は落とさず、必要な労働力を保ち、各個人に沿ったライフスタイル、勤務実績、コミュニケーションの実績を考慮しつつ、外部との接触リスクを減らす、オフィス勤務と在宅勤務を混ぜたチーム編成を瞬時に最適化し提案するアプリを開発。最適化の結果を各個人が受け取り、実際に触れることが可能なアプリレベルにまで準備している。
https://sigmailab.com/corona/challenge5.html

CO2センサで三密を測る


国立研究開発法人産業技術総合研究所による提案。
三密の程度をどうやって知るのか、それが喫緊の課題となっている。換気を測ることは大事ですが、ウイルスは人が出すのですから、その部屋で人が息をしている量を知ることも大事。人は息をする度に二酸化炭素CO2を吐いており、このCO2濃度を、それぞれの部屋で測り、三密の目安とすることを提案する。

感染抑止と経済活性化の施策を支援するための人流リアルタイムモニタリングに基づくシミュレーション


株式会社三菱総合研究所による提案。
本研究では、リアルタイムに近いGPSデータを活用し、全国の人流(地域別)を詳細に把握、各種条件下でのシミュレーションを実施することで、①人の地域間移動に伴う地域別感染拡大リスク、②接触制限・移動制限対策に伴う経済の関係、に関する示唆を得ることを目的とする。 既存研究の成果(「人流データを用いた新型コロナウイルス感染症の各地域への流入リスクの推定」や「外出規制に伴う感染抑制・経済活動低下に関するシミュレーションモデル」 など)にリアルタイム人流データ、消費データ、感染データなどのデータを用いることで、人流の変化に伴う感染リスクの変化や経済・雇用インパクトへの影響(業種別、地域別)をシミュレーションし、1日~数日遅れでの感染リスクや家計消費額状況を算出する。

そのほかの提案の詳細など、詳しくは内閣官房の公式サイトで確認できる。
https://corona.go.jp/simulation/
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