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産総研、大量の実画像データの収集が不要なAI開発。自動運転などに応用期待

AI Start Lab 編集部 2022.6.24
産総研は、数式から自動生成した大規模画像データセットを用いてのAIの画像認識モデル(学習済みモデル)を構築する世界初となる手法を開発したことを発表した。

本手法は、AIが学習で使用する大量の実画像やそのプライバシーの確保、ラベル付けコストなど商業利用の際の課題を解消。自動運転医療物流などのさまざまな環境でのAI構築での応用が期待できる。

数式からAIが自動学習、人の判断を経た学習と同程度以上の認識精度を実現


画像認識の技術は、AI技術の導入が期待される分野の1つである。しかし、製造や医療の現場では、AIの学習に必要となる大量のデータの収集が不可能なケースや、導入コストが高いといったケースがあり、それらはAI技術の導入の障壁となってしまう。

今回開発された手法は、数式から自動生成した「大規模画像データ」と自動割当てされる「教師ラベルからなるデータセット」を用い、深層学習によって物体形状の基礎的な視覚特徴を学習。画像を認識するAIを容易に構築可能とする学習済みモデルを開発した。

はじめに、フラクタル幾何(汎用的な数式の一つ)によって自動生成した画像データセットを画像認識AIの学習に用いると、実画像と人間が与えた教師ラベルを用いた従来の学習と近い認識精度が出ることを証明した。

さらに、フラクタル幾何の画像データで学習した画像認識AIの学習の仕方を調べたところ、主に輪郭成分に着目して物体を識別することが判明。


学習済みモデルを生成するために用いた画像例。図の上部は従来用いられていた標準的な実画像、図の中央および下部は今回提案の数式(フラクタル幾何・輪郭形状)から生成した画像

そこで画像の主要成分が輪郭となるように、放射状に輪郭生成する関数を数式に設定した画像データセット(輪郭形状による画像データセット)も構築。これらの画像データセットで学習させた結果、物体を識別するための基礎的で良好な視覚特徴を得ることに成功した。

識別検証には、「ImageNet(画像認識のベンチマークとされる)」を活用。ネット上の画像データとして頻出するあらゆる画像タイプを含んでいるため、ImageNet画像を認識問題(タスク)として与えて認識精度を見ることで、実利用レベルを測ることが可能だ。


画像認識AIにImageNetの一般的な物体の画像をタスクとして与えた結果、フラクタル幾何および輪郭形状による画像データセットで構築した画像認識AIの精度は、実画像によるものよりも高水準(フラクタル幾何:82.7%、輪郭形状:82.4%、実画像81.8%)を記録した。

今後、自動運転や医療、物流などさまざまな環境のAI構築で応用が期待できるとのことだ。

画像:産総研プレスリリース


産総研
https://www.aist.go.jp/

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AI Start Lab 編集部

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